6月も終わりですね。 JAMA (Journal of the American Medical Association:米国医師会が出版する権威ある医学雑誌)に、アスピリンは今まで当たり前のように飲むのが当然、となっていたが、こと明らかな病気をまだ発症していない人などについては、慎重に決めることが今後重要になってくるだろう、という論文を出しました。 内容はやや複雑になるので割愛しますが、簡単にいうと、患者さんのメリット・デメリット(出血)と、忍容性(飲むことが可能かどうか)などを考えること、また今後の疫学研究が大事ということです。

ただ、絶対に飲まないと、心筋梗塞や脳梗塞を起こす(すでに知らない間に起こしている場合もある)方は飲んだ方がいいでしょう。 次に発症するときは、命に関わるからです。

医師がしている仕事は、理系だけでなく、文系の能力も必要です。 飛び抜けた医師はどちらかが、もしくは理系が飛び抜けて文系はそこそこ、という3パターンです。

まぁまずは理系の能力がないと、医師にはなれないし、なっては駄目だとも思います。

私が一番嫌なのは、理系の能力がほぼないのに、世渡りだけで世の中のためになってない医師がいること、です。
四国の医療は10年遅れていると言われることがありますが(実際に国内留学で四国に来る医師は非常に少ない)、私は働いた病院でどれだけ考えて働いたか、良い上司(戦友)に巡り会えたか、自分の目標を明確にしているか、が分かっていれば、四国内でも全く問題はありません。

※ただ、私が研修をしていた京都第一日赤の救急外来の作りは非常に良くできていて、それが今の高知の建物では見たことがないのも事実です。 基本的な考えが違うのかもしれません。 周囲の厳しい環境、患者さんの肥えた目など、一流病院で働くことは重要です。 その辺の適当な病院でダラダラするなら、開業して自分で勉強した方が世の中のためになるのも事実です。 ちなみに、ダラダラしていた医師が開業する理由は本当にくだらないもので、必要とされてないだけ、の一点です。 つまり追い出され開業というわけです。

全てのスポーツの中で唯一審判がいないのが「ゴルフ」です。 自分に厳しくないと駄目、ということで、医師向きです。 勝負する相手は「地球」ということもみりょくですよね。 私は留学中やその前後にしていたこともありますが、上手でないのでしませんが、スポーツ全般において、自分との勝負と思ってしまうとその時点で負けが決定すると思っています。 あくまで「自分は味方」です。 自分との勝負といっている時点で楽な方向に向かっているように感じるからです。

ゴルフが趣味だけど、心臓病を持っているから、といってしない方もいますが、ゴルフは途中で飲むビールをやめ(ひかえ)、水分をとれば、非常にいい心臓リハビリにもなります。 どのくらいしたらいいか、を決めるのが、心リハです。 例えば、ハーフに今はしてください。 移動はカートにしていください、脈を測定しながらプレーしてください、など具体的なことが言えます。

そのためにゴルフを経験した(これからもするつもりですが、やや時間がありません)のです(留学中は18ホール回るのに1500円(日本だと1万円以上かかりますよね)だったので、結構色んなところにいっていました。

私たちは、相手の立場に立って物事を考えるように、と教えられて来たと思います。

それも正しいけども、人によっては基準も違うでしょう。

私は3つの原則に基づいて行動することにしています。

自分の中で正義なのかどうか。 現時点か少し未来での社会で最適かどうか、相手の立場にたつ

の順番です。 なので、心臓リハビリテーション学会が作った、訳のわからない「医者が最初にみて、最後にみる」のが望ましい、は無視しています(高知県で唯一の学会の評議員医師なのに、です)。 自分はリハビリテーション中に診るのが一番良い、と思っていますし、安全だと思っています(ちなみに学会は、リハビリ中はどんな大きな建物でも医者が建物内にいれば行って良い、としています) 治療においても現時点ではもちろん、少し先を見据えた治療を心がけ、温故知新も忘れずに治療すると、抜けがなくなる、と思っています。

医療の現場において相手の立場に立つ、というのは説明が上手かどうか、メリットばかりを話してないか、デメリットを話したうえで、それを大きく超えるメリットを提示でき、その上で、患者さんの意思を尊重しています。 私がいくら胃のバリウム検査は全く意味がない、と言ったところで、患者さんが意味がある、と思って入れば胃カメラはしないほうがいいでしょう。 ただ、胃カメラで超早期の食道がんを先月指摘でき、癌がなかったことにできる治療が受けれる人がいるのも事実です。 最初から「うちは循環器だから、検診は自分でしてね」は私の中の正義ではありません。 なので、当初消化器内科医だった経験でずっと胃カメラ(大腸カメラも)、腹部エコー(これも私が考えた膵臓の尾部を診る方法が最新のエコーの一種ではなんと取り入れられています。 私は7年以上前からこのことをマニュアルでしていました。

押し付けがましい文章になってしまいましたが、私の「現時点」での行動原則です。 医療以外でもなにかしら、自分の行動原則を持つことは、誰かの影響、書物を読み漁る、経験、で身につけることができると思っています。

Stop SU剤、を掲げて、当院では、グリミクロン、アマリール、ダオニールを処方している患者様は一人もいませんが、コントロールは上等です。 中には当院では心臓のことでかかっていて、他院で糖尿病を診られている方で、HbA1cが6.1%なのに、グリミクロン(その前はアマリール)が今も出されている方が一宮地域では非常に多い! 20年前の処方です。 低血糖のリスクや、膵癌の可能性をあげる危険な処方です。

インスリンを当院では外来で導入(指導して自分で自宅で安全に注射できるようにすること)をしています。

「インスリン治療になったら、一生か」と思っている患者様は当院で初めて糖尿病でインスリン治療が必要な方はほぼ全員、インスリンを離脱でき、内服薬でコントロールできています。 それどころか、治ってしまい、薬がなくなる人もいます。 10人中8人が当院初診の方で、他院でSU剤で治療され続け、膵臓がボロボロになった状態で来た人はインスリンが一生必要になるケースがあるのが10人中2人という状況です。

確かにグリミクロンを超低量なら、それほど問題ない、という専門医もいることも事実ですが、専門医でないクリニックがHbA1cが6.1%で、いくら低量でも、許される処方ではありません。