心臓弁膜症は症状がでません。 また検診や人間DOCでも心エコー図検査がオプションで入っている場合は少ないように思います。 弁膜症は音で重症度がわかる場合があります。 有名なところでは、僧帽弁逆流症が重症化してくると逆流の音の持続が短くなる、などです。 エコー検査だけで判断できない場合、こういった聴診などの「身体所見」が重要になってきます。
ただこの音は医師が聴診器で聴くので患者さんには分かりません。 そこで7年前に患者さんにも分かるようにアンプ付きの集音器を使ったことがありますがなかなかキチンと音が分かりません。 最近では日本では売っていませんが、アメリカで聴診器の音をiPhoneのような機械で聴くことができる聴診器が発売されています。 ただ日本では輸入販売はできません。 米国の医師の知り合いに頼んで買ってもらって、日本に送ってもらう、などは可能のようですが、税関で私の医師免許などが必要になってくるようです。 そのためまだ手に入っていません。 病院やクリニックで医師が聴いている音を自宅でも聴ける時代はそこまで来ている、と思っています。 その時の「かかりつけ医」のレベルが分かる時代になってきています。

医学用語では、腓(こむら/ふくらはぎ)腹筋痙攣、Leg crampといいます。 有痛性筋痙攣とも言われることがあります。
起こる原因は運動中か安静時(主に寝ている時)で変わることもあり、まだまだ諸説ありますが、運動中では脱水によるミネラル(特にNa(ナトリウム))の不足、乳酸という疲労物質の蓄積、また頑張り過ぎている筋肉への血流低下などです。 寝ている時は、旧皮質(昔の記憶など)が足の筋肉を収縮させてしまう、寝ている間に脱水になりミネラル(特にK(カリウム)で、最新の論文ではMa(マグネシウムはあまり関係ないという報告もあります))の不足、やお年をとり筋肉量が減っており血流も減ってしまうので血流が悪くなるなどです。

予防はストレッチで筋肉を伸展させ血流をよくさせておく、運動中にスポーツ飲料・寝る前ならミネラルウォーターの摂取が重要です。

起こってしまった後の対処としては、漢方薬の芍薬甘草湯が最も効果があります。 予防にも使えます。

ロキソニンや湿布では治りません。 自然と治った後の痛みは和らげてくれます。

ただ、1日3包飲んでいる方はNaを溜め込んで高血圧になる事もあります(1日の上限は甘草として7.5gとされていて、1日3包飲んでも合計6gですが、人により感受性も違います) さらに漢方を組み合わせて飲まれている方はすぐに上限を越します(葛根湯を1日3包内服すると2g含まれています)

妊婦さんが足がつりやすいのは、腹圧で血流が悪くなることや、ホルモンバランス、胎児と栄養配分する必要などがあります。
足がつる、こむら返りが病気のサインの場合は、糖尿病、肝硬変、脊柱管狭窄症(腰椎ヘルニア含む)、下肢静脈瘤、閉塞性動脈瘤、など様々で、薬では高血圧、脂質異常症の薬や利尿剤などが原因となります。

現在使われている「医療崩壊」は、コロナウイルス によるものを指すことがほとんどです。 TVなどでもよく使われる言葉なので皆さんも「医療崩壊=コロナウイルス により、医療現場の疲労困憊」と認識されていると思います。
ただ医師(といっても経験したことのない医師もたくさんいると思いますが、、、)の間では、「医療崩壊は10年以上前から存在していた」が常識です。

どういった「医療崩壊」かというと、大野病院の産婦人科医の刑事告訴事件、加古川心筋梗塞事件、杏林割り箸事件などが引き金にもなり、また「断らない地域の中核病院」での医師数減少や科そのものがなくなる、というなかで「当直業務」が増え、医師の体力的・精神的疲労が重なり悪循環になるものです。

私が勤務していた「京都第一日赤」では救急車を断る、また普通に酔っ払いが来て「点滴しろ!」などを断る、などということは誰の頭にもありませんでした。 それらすべてをみて医療なのだろうと私も認識していました。 その後、徳島大学病院でも同様でしたが、国立病院機構善通寺病院(現:四国こどもとおとなの医療センター)でも断るという行為が許されない、中讃(香川県は東西に伸びているので、真ん中を中讃といいます)の最終拠点病院では私が就任前は血液内科がないのに「急性白血病」を診ていたそうです。 私と私の前に香川大学から赴任されていた血液内科を少し知っている(治療はできない)医師に入院を診ない偉い先生から入院を担当するように言われたところ、香川大学の医師が「クリーンルームがない状態でアンディ・フグ選手がなった急性白血病を診て良いわけがない」と直談判(私も同席していました)し、血液内科がある病院へと搬送されました。 以後、急性白血病は診断がついた時点で紹介する、となりました。
また当直業務とは「入院患者の見回りであり、外来業務はないこと」とされていますが、形骸化された言葉です。 医師は当直をするときに「さて、今日は寝れないな、、、」で普通に朝から夕方まで通常業務をこなした後、夕方から次の日の朝まで救急車の対応、普通に風邪などでやってくる患者さんの対応をし、その次の日も「休み」と書かれた勤務表のときに通常業務をしています。さらに言うなら当直によって入院患者さんが増えるので次の日の方が忙しいのです。これは医師だけで、他の医療関係者は当直ではなく、夜勤、となり、昼間は休日で、次の日も休日となります。 そういった環境ばかりで医療をしてきました。
今一度、医療崩壊、は2つあることを知っておいて欲しいと思います。 高知県でも医師数不足などで日常的に以前からある医療崩壊が存在し、大病院などの医師は過酷な環境で業務しているのです。 ちなみに中規模病院で働いていると当直は「寝当直」で、重症の入院患者さんはいないし、救急車からも電話すらかかってきません。 そういった病院で研鑽していても医療の技術という面では全く意味がなかっただろうな、と思います。 私は周囲の医師に助けられ、教えられ、自分で出来ることも多くなったため、今まで一緒に働いて来た医師に感謝しています。

雑踏とした外来では、無音の心音図などをとる部屋で聴く訳ではないので、心音、心雑音を「同じように聴ける」という循環器内科医はいないと思います。 例えば、軽症の弁膜症は聴こえない場合もあり、その原因が器質的(生まれ持ったものや、年齢や他の疾患によって生じたもの)であれば、心エコー検査をしないと分かりません。

また、多くの教科書(私が見た限りでは全て)が、「カラー・ドプラ」での面積で、定性評価(軽度、中等度、高度)を決めるようになっていますが、全くのナンセンスです。 悪い弁膜症は逆流するときなどに真っ直ぐではない場合もあるため、面瀬よりも逆流している持続時間の方が重要です。

少し専門的になりましたが、心電図や心エコー図検査が重要なことがわかってもらえれば、と思います。

報道でも各ワクチンに差があることはご存知の方もおられると思います。
ワクチンに関しては、「感染」→「発症」→「重篤化」 で考えるべきと思っています。

ちなみに理論上はインフルエンザワクチンの「感染」に関しては効果がない、はずです。 ただ、発症、重篤化には重要です。

日本では、まず「ファイザー社製」から。 その後「アストラゼネカ社製」「モデルナ社製」が導入される予定です。

当院では、「ファイザー社製」と「モデルナ社製」を導入し、万が一未満でおこるとされる、アナフィラキシー・ショックに対しても十分な準備をして接種することとしています。 上記2社は「有効性」が高い(どちらも約95%)ことから導入することとしています。 (ちなみに95%の有効性とは、摂取しなかった人と比べて「発症」が9割5分減る、ということです。 「アストラゼネカ社製」が決して悪いわけでもないかもしれませんが、「有効率」が低い(約70%)ことなどから導入はしません。

ジョンソン・エンド・ジョンソン社製や日本製ワクチンも出てくるでしょうが、今現在の時点ではそのように考えています。