年始のご挨拶

 

旧年中は大変お世話になりました。

本年も”がん検診を疎かにしない専門的循環器治療”をモットーに、かかりつけ医として皆様の健康をサポートさせていただきます。

その信念を今年もぶれることなく、かつ、院内体制を整え皆様のご期待に沿えるよう頑張っていく所存です。

 

旧年中は9月に開院し、新規開業ということもあり、待ち時間などでご迷惑をおかけしました。 スタッフ一同、工夫をこらして、旧年では達成できなかった待ち時間短縮についても努力し改善して行く次第です。

 

「菜根譚(中国、明代の古典の一つ)」や「アドラー心理学」では、「人格が主人で、才能は召使い」という言葉があります。

医療に置き換えると、優れた医療技術を持っていても、それをどう使うかは医師次第ということになる、と思っております。

私自身、開業医の医療技術が上昇しない、などということが無いように日々精進し、情報を受けるだけでなく、情報発信型の医師を目指しております。

そこで身につけた知識や技術を分かりやすい説明のもと、提供したいと思っております。

どうぞ、本年も宜しくお願い致します。

 

一宮きずなクリニック

院長 福田大和

一宮きずなクリニックの外観

 

皆様こんにちは。
いよいよ、今年も残すところわずかとなりました。

 

本年の9月に新規開業したにもよらず、 ご来院していただいた患者様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

今年も様々なことが起きました。2011年を象徴する漢字は『絆』でしたが、熊本での震災やオリンピックなど、人と人との絆を再確認できることが今年も多くありました。高知も南海トラフの問題があり、「備えあれば憂いなし」の対策をしていかなければなりませんが、災害という非日常の中で「絆」という大切さに気づくのではなく、一宮きずなクリニックでは地域医療を通して、日常での皆様との「絆」の大切さを肌で感じた一年でした。

 

一宮きずなクリニックでは、患者様の診断・治療を漠然とするだけでなく、福田心臓・消化器内科(私は水曜日と金曜日の午後に心臓リハビリテーションで診察しております)と連携をとりながら、医療におきましても「備えあれば憂いなし」ですので、予防医療や介護に関しても、グループホームを初め、特別擁護老人ホームなども、同医療法人、関連の福祉法人内に施設があるため、シームレスな医療・介護を患者様との『絆』を大事に、心掛けたいと思っております。

 

当クリニックは、患者さまの笑顔や感謝の言葉に支えられて2016年を無事に終えることができました。今後も多くの方に愛されるクリニックに一歩でも近づきたいと、職員一同、向上心をもって頑張って行きたいと思っております。

 

2017年も人と人の絆がしっかり結ばれ、多くの方に幸多きことをお祈りしつつ本年最後のご挨拶とさせていただきます。

来年もまた多くの新しい出会いを楽しみにしております。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。

 

一宮きずなクリニック

一同

皆さんはインドではIT企業が盛んである、とご存知だと思います。 私をはじめ、多くの人が、「インド人は数学が強いからだ」と思ってないでしょうか? 実はそうではない一説の答えが、池上彰さんの著書『宗教がわかれば世界が見える』に書かれています。インドでは、身分制度である「カースト制度」というものがあり、親の職業を継がなくてはいけない決まりがあるのですが、貧困から抜け出したい人々が、新しい職業でカースト制度に当てはまらないIT関連の職業につきたいから必死に勉強する、ということが一因のように書かれていました。

日本では、職業選択の自由が憲法で保障されています。日本人の多くの人々は、自分の意志で仕事を選べます。グローバルな視点に立てば、問題はあっても日本は比較的、恵まれている環境であると思います。

 

同じことが、医療の分野でもあると思います。

私は2013年から1年間、米国フィラデルフィアの心臓血管研究所で研究員として働いていました。研究で得た知識も大事でしたが、1年過ごした事で、米国の医療制度をはじめ、未だに深く残る差別問題など、僅かですがグローバルな視点を肌で感じ、持つ事ができました。

 

国民皆保険は賛否両論あると思います。しかし、私は素晴らしい制度だと現在(2016年)思っています。 患者さんが平等に高い水準の医療を受けられるこの制度は、今後も続けていく必要性を感じています。

 

年末に向けて忙しく、慌ただしい時期に入ってきました。あまり無理をなされず、命あっての物種です。ご自身・ご家族のことを第一に、健康に気を使っていきましょう。私も医者の不養生にならぬよう、頑張っていきます。

 

 

ちなみに・・・

 

米国の私が暮らしていた比較的安全とされている地域(ペンシルバニア州のWillow grove)でも21時以降は研究室のボスから「絶対に出歩かないように!」と言われていました。禁を犯して(笑)、23時に買い物に出かけた際に、ウォールマートというスーパーで万引きした犯人を取り押さえる現場に遭遇し、犯人とぶつかってしまいました。2人に1人が拳銃を所持している可能性がある米国。本当に怖い思いをしました。

もう慣れましたが、帰国してすぐは、深夜に中学生ぐらいの女の子が 塾の帰りなのか、一人自転車で帰路についているのをみて、ゾッとしたものです。

やっぱり日本は、安全だなと思える今日この頃です。

心房細動とは数ある不整脈の一つであり、心臓のなかに血の塊が出来て、脳梗塞を起こしてしまう恐ろしい不整脈です(長嶋茂雄 巨人名誉監督 がなった病気と言えば分かりやすいかもしれません)。症状がある人もいれば、偶然みつかる場合もあります。

 

私事ですが、今月、四国リバーロキサバン登録試験(Shikoku Rivaroxaban Registry Trial : SRRT)の解析結果や、今後の薬剤投与についての会議に高知からは四人のうちの一人として出席致します。心房細動に対して内服していただく薬剤について、十分な効果かつ安全に投与をするためのことを話し合う会議です。

 

心房細動には「胸がドキドキする」という「動悸」を主訴に来院される患者様のなかに多く見られます。他の不整脈が原因のことも多いのですが、不整脈といっても種類が多く、患者様に不整脈のリズムの図を見せて、「どのタイプの不整脈に似ていますか?」と聞くことがあります。 第二候補くらいまで上げてもらう事もあります。

 

心房細動の際にお出しする薬の基本は「血をサラサラ」にする薬です。血をサラサラにする薬には2種類あり、動脈をサラサラにする薬と、心臓内と静脈をサラサラにする薬があり、心房細動では後者を使用します。 その使用する薬のなかでも2種類あり、1900年代前半に、殺鼠剤として使用されていた、歴史あるワーファリンと言う薬と、近年発売されたワーファリン以外の薬に分かれます。

 

近年、心房細動は循環器専門医だけが診る病気ではなく、患者さんが多くなることからも、非専門医も診察する病気、という流れが多くなってきています。しかし私はこれには少し違和感があり、脳梗塞などの重症に発展する可能性もあるため、一度は心臓専門医を受診するべきだと思っています。

 

理由は、使用する薬が「心臓超音波」というエコーの検査で変わってくるからです。例えば「僧帽弁狭窄症(左心房から左心室へ血液が流れにくくなる病気)」という疾患があると、使う薬は、「ワーファリン」のみとなっております(2016年現在)。またエコー検査で、心房細動の原因や心臓の機能、心房細動自体を直してしまう「カテーテル・アブレーション」が適応なのかどうかが分かることがあります。僧帽弁狭窄症があるのにワーファリン以外の薬がでてしまうことの懸念や、カテーテル・アブレーションの情報が入らないことは、患者様の不利益になることがあるからです。

 

動悸を感じる患者様は一度、全く問題がない「心臓神経症」なのか、放置が可能な不整脈なのか、心房細動のように命に関わる不整脈なのかを診断するために、心臓専門医のいる病院・クリニックを受診してみてください。

 

脈

 

図の解説

①正常の脈。トン、トン、トンと正常にリズムの乱れがない。

②洞性頻脈のタイプです。面接型と私は名付けています。緊張したりすると脈が速くなり、自然と知らないうちに収まる問題のない不整脈です。

③発作性頻拍が疑われるタイプです。突然始まり、「何時何分」に突然治まった、という症状が決めてです。

④期外収縮のタイプです。期外というのは、納「期」以外に、心臓の電気の「収縮」があり、心電図では心臓の電気の収縮が診れるのですが、脈拍では「脈の空打ち」と感じます。

⑤心房細動のタイプです。発作が診察時に起こってない場合は、24時間心電図などで診断します。

心臓リハビリテーション指導士という資格は医師ならば受ければ100%受かります。 2年間の決まった施設で「経験」を積み、その上で試験を受ける資格が得られます。 ただし、抜け道があります。 2週間(といっても10日ですが)の施設見学で2年の経験なしで試験を受けられるようになるのです。

私自身は現:四国こどもとおとなの医療センターで自分で準備から入り勉強したあと、開設を自分で責任をもって決め、超重症の方も含めた患者さんを相手にした「心臓リハビリテーション」を榊原記念病院での経験がある方が香川にいたので週に1回来てもらったり、修学を欠かさず、論文も書き続け、自分自身のindex(指標)も発表しています。 そういった「経験」から高知市で初めて「外来心臓リハビリテーション」を開設しました。

県内には(市内?)には、「見学」指導医師が非常に多いように思います。 それをさぞ昔からやっていたように見せるのは「風説の流布」状態であり、野放しに出来ない、という見解が平成最後の総学会ではありました。 しかし、そういった、重症例を2年以上経験せず、裏口入学でとった資格で「心臓リハビリ」をしている施設が増えすぎてしまっているのが現状です。

常々私が言っていることですが、賢い患者になってほしい、そのためには質問です。 「心臓リハビリの研修はどこで、『何年間』したのでしょうか?」「集中治療室での責任をもった症例は何百症例ですか?」 と 心臓リハビリをしている医師に聞いて見てください。 きっと答えられない、か、ごまかす医師がいます。 そんなところで心臓リハビリを受けて大丈夫でしょうか? 私はゴメンです。 きちんとした「経験のある」ところでするべきだろうし、その後も研鑽を続けているのが当然だと、2年後の大会長を予定しながら思います。