健康診断には、健診と検診があります。 皆様、違いが分かるでしょうか?

答えは、健診は簡単なもの(血圧と聴診だけ、というものもあります)、検診はより詳しいもの、と大まかに覚えてもらっていいと思います。 健診や検診は当院でもしています。
では、検査はどうでしょうか? 健診、検診で引っかかったときに、2次検査として、心臓超音波、(もう一度)レントゲンや心電図、胃カメラ、腹部の超音波などをする訳です。 胃がんの確率が高い人などは、最初から検査を毎年するのが良いでしょう、二度手間になりますし、悪い場所が疑われれば、組織をとったりなどが出来るので、最初から胃カメラをしても良いと考えられる人もいます。
なお、先進国で、胃のバリウム検査をしているのは日本だけです。 これには何か理由があるのかな? と 邪推してしまいます。 検査技師の団体が、仕事がなくなるのを恐れて、圧力を政府などにかけている、と思ってしまいます。 私もバリウム検査をしていましたが、胃のポリープが疑われた方がいたので、胃カメラをしたところ、超早期の食道がんが見つかった例があったりして、もう胃のバリウム検査は自分も受けませんし、他人にも勧めません。 放射線の被爆や見落とし、組織がとれない、などで、もう過去の産物だと思っています。
また、私は1年間、頭部、胸部、腹部〜骨盤のCT検査の読影を3人の放射線科医師に習っていました。 メモしたことは数枚のwordに残し、今でもbrush upを続けています。 ここで私が分かったことは、レントゲンから勉強しようとする医師は勉強の手順を間違っている、と思ったことです。 ちまたには「レントゲンのABC」などの書籍が売られていますが、答え合わせにCTではこうだから、となります。 これは「間違った勉強法」といっても良いと思います。 CTでまず勉強し、答え合わせをレントゲンでしないと、圧倒的にレントゲンの方が多いので、CTで答え合わせを全例できないからです。 CTで正常と分かれば、レントゲンで「おかしいな」と思う回数がへります。 また、一流の放射線科医は、レントゲンでCTを想像しています(私も心掛けています)。 最近、上行大動脈拡大の所見が心エコーであり、レントゲンで、いつもこうみえるな、と思った症例がありました。 造語ですがダブル・アオルタ・サイン(二重に大動脈が見える)というもので、放射線科医では当たり前かもしれませんが、このかた、他院の健診では「レントゲンはいつもと変わらず正常だが、心電図異常がある、ということで当院紹介となり、心エコーをして見つかりました(しつこいようですが、心エコーを専門とする医師は、エコー機器をみると分かります。 まずはメインで使っているエコー機器が往診にも使えるようなPCタイプでなく(アンチョコ型です)、トラック・ボールという、エコー機器の真ん中にある部分が3cmのものを使ってないと、心エコーの専門ではない証拠です。 これは、心エコーを専門としている自分が、患者の立場になれば、携帯型の心エコーで、1.5cmトラック・ボールのエコーをメインで使っている医師にはかかりたくない、と思ってしまうからです。 同じエコーをされても、同じ金額で、実力も伴ってないと思われます) 親しい放射線科医に聞き、そういったサインが今まで世に出回っているのか(私は以前もレントゲンでCTだと大動脈が太くなっているな? と思い、紹介したところCT検査で大動脈拡大があったので、多分、読影がきちんと出来る人は見落としがないのだと思っています。
多くの内科医師は、放射線科医に、系統だって1年間教えてもらう機会などないと思います。 私は恵まれていました(その分、人の2倍は働いたと思っていますが) 当院では、デジタルでレントゲンを患者さんと一緒にみながら、「ここはこういう風にみえるから、診断はこうです」と説明しています。
小林麻央さんの例もあります。 医学に100%などありませんが、質問がありましたら、その時でも、次回の診察の時でも構いませんので、おっしゃっていただければ説明させていただきます(その場では、質問したいことも分からない、と思いますので)

皆様は自宅で必ず読む、定期購読している読み物、はありますか?

当院では、各種新聞、週刊新潮、週刊女性、ホットこうち、などの読み物に加え、「ニュートン」という雑誌を開院当初から置いています。 これは私が中学生の頃から大学生の頃まで、面白い記事があれば買っていた雑誌で、昔は、3000年には人類の姿はこうなる、などの記事が多かったのですが、最近の記事は医療を扱うことが多いな、という印象です。
他の雑誌と比べて、ゴシップ的な要素はなく、きちんとした監修のもと、現在の医療のことを医療関係者以外にむけて書かれていますが、やはり少し難解ではあります。 しかし読まれているかたは結構多く、「こんな雑誌は初めてみた」「ここの部分をコンビニでコピーして期待から、5分貸してくれ」などの話を患者様がされます。
私も、開院してから再度読むようになったのですが、「ヒモ理論」(宇宙は2本のヒモで出来ている?)という記事は非常に難しく、未だに理解出来ません(この理論には興味があり、10年前に専門書も買ったのですが、それも分かりにくかったです)
また、私が書いた著書(自費出版ではない、検閲をうけた商業出版です)の医学書、「恋する心エコー」もシリーズで2冊置いています。 これは心エコーをする医療者向けなのですが、私の医療への想いや、医師はどうやって患者さんをみているのか、なども書いていますので、もし宜しかったら、小説調でかいた(恐らく世界初)医学書ですので手に取ってみてください(アマゾンの「心臓」部門、「心エコー」部門で、2冊ともベストセラーに何十回も選ばれています(1、2位が私の本だったこともあります。2013年発売で、今年もベストセラーになったこともあります。印税は全て東北の震災の義援金にしています、これも医学書としては日本では初めてだと思います)
現在、「心臓リハビリテーション」と、やはり「心臓超音波」について、違う医学社からの依頼をうけて執筆中です。
本を書く、講演をする、論文を書く、という行為は間違いがあってはいけませんので、論文をよみ、最新の知見もしらないといけません。 「専門性」を高めることになるわけです。 これらの本の印税も、熊本の地震に対する義援金にしようと思っています。

本格的な梅雨入りとなりました。

今日は当院での「腹痛」に対する対応を紹介致します。

まずは身体所見(視診・聴診・触診)をして、検査をします。また何より腹部の血管が大事なので腹部エコーもすることがあります。必要があれば、当院では、午後でも胃カメラをすぐにすることが出来るように心掛けています。

ちかごろ、カルテに書かれている言葉に「ちょい当てエコー」というのが氾濫しています。

この言葉をみて患者さんはどう思うでしょう? 私が患者なら、「おいおい、きちんと見てくれよ」と思うことでしょう。
この「ちょい当てエコー」は、外国の「quick look echo」という、緊急時に大事な部分だけを見て、トリアージ(緊急性があるかどうかを判断する)する語源から、変な和訳になっているのではないのでしょうか? 申し訳ありませんが、詳細は私には不明です。
腹部エコーは食事をしていれば、なかなか見れない部分もありますが、「ちょい当てエコー」は責任逃れの言葉になっていないでしょうか?
これは若い医師への教育上、仕方ないことかもしれませんが、患者さんは悪くなって来院されてくるわけです。 「検査はしましたよ」という最低限のことをして、医療訴訟にならないような行動を教える時代になったと思うと、医学教育に対して悲しい気分になります。
そういった患者さんが来たので、「すぐに胃カメラをしましょう」と説得し、結果は十二指腸潰瘍でした。 十二指腸は薄く、胃潰瘍とちがい、穿孔して腹膜炎を起こしやすいので危険です。
前医も十二指腸潰瘍などを想定していたと思いますので、当院への胃カメラの勧めをしていたことは適切だと思います。
しかし、一町医者は、何でも診れないといけません。 またそういった研鑽をするべき(しておくべき)です。
私の専門は循環器ですが、胃カメラの研鑽もしていました。 今年も研修にいって研鑽する予定です。
町医者の総合医は、ドクターXのような大病院の難病を診断するバレーボールでいうとアタッカーのような総合医と違い、バレシーブ専門やリベロ、時には専門領域で良いトスをあげれるセッターだと思います。 幅広く疾患を診れて、おかしいと思えば、ドクターXに紹介することが出来ることが大事と思います。
それができない町医者は、いくら「内科」を標榜していても、その前にある「循環器」だけが専門になってしまいます。
そういったことはあると思いますので、診療所同士で連携をとることが大事と思い、私も出来ないことはたくさんあるので、周囲の先生方に助けてもらっています。
ただ、専門にしている「循環器」だけでは、本当に患者さんを2050年まで健康でみれない、と思っています。
そのための「内科」の勉強が大事だと思っている次第です。

本日は父の日ですね。 夜まで暑く、今日は窓を閉めてエアコンかけています。 熱中症には皆様ご注意を。
先週、大塚製薬が主催する、題名の研究会に出席してきました(医師はこういった会に出席して勉強します)

講演者は香川県の三豊総合病院の高石先生で2001年から「心リハ」を開設した方です。
私は2008年から、香川県にある、四国こどもとおとなの医療センターで、心リハを開設しました。
私は大塚製薬の日本人が開発した「サムスカ」という利尿剤(尿をだす、心不全の薬)と、「心リハ」は、

医学生、医師の教科書をかえる、薬剤、治療法だと思っています。
やはり講演を聞いて思ったのは、急性期で、とくに「心不全’」という、色んな心臓の病気で最終的に心臓の働きが非常に悪い人の、凄く悪い入院している時期を経験しないと、本当の「心リハ」の実力や経験は詰めないと感じた次第です。
講演内容でも、「心不全」に対して、適切な心リハを行わないと、余計に悪くなる、という内容でした。
「心リハ」については、とくに心不全に対して、経験のある医師のもとで治療をうけないといけません、患者さんも、「心リハ」は同じ、と思わないこと、知っておかないと損をする、と思う内容でした。
講演後、高石先生とお話しさせていただき、香川県の医療のこと、また私の書いた論文に興味を持ってくださり、
非常に有意義な時間を過ごすことができました。
父の日は必要最低限の書類などを書き、家族との時間も持ち、少し休んだ、という感じです。
皆様にとって、今日という日がどうだったでしょうか?
素晴らしい日であったことを願っています。

寒くなったり、急に暑くなったり、と天候が優れない日々が続いています。 皆様、体調はどうでしょうか?
この、6月13日に高知赤十字病院の先生が「VTE(静脈血栓塞栓症)の診断と治療 当院の使用経験を踏まえて」という演題と共に、私としては初めて、ネットTVでの中国・四国地方への配信という形で講演会をさせていただきました。 貴重な機会をいただいた赤十字病院の先生、また関係各者の皆様に感謝致します。
さて、私の講演の内容は、「医師向け」ということもあり、心房細動という病気について、ではなく、如何に心房細動を見落とさないか、また血液をサラサラにする薬の使い分け、心房細動と心臓リハビリテーションは凄く相性が良いこと、今後の血液をサラサラにする薬の使い方の注意点についてでした。 自分自身が胃カメラを通して経験したことや、自分が発表しただけでなく、論文や著書に書いたことなども踏まえて講演させていただきました。

ただ、問題定義としては、心臓リハビリテーションを専門とするなら、やはり血行動態といって、心臓の働きを詳しく考えないと、最近は「心リハ専門」といっても、余計に心臓が悪くなるといったことが報告されていたり、心リハ中の心電図は奥が深く、きちんと診断ができてないケースがある、ということをあげさせていただきました。 クリニックで行う心リハでは、患者さんの血行動態を把握するには、それ相応の心エコー機器が必要です。 患者さんに知っておいて欲しいのは、心エコー機器を操作するトラック・ボールという丸いボール(コンピューターで言うとマウスになります)が3cmのものを使ってないと、心エコーは専門ではないので、血行動態には関心がない、と思ってもいいと思います。 私自身、開業するに当たり、色んな機器を考慮しましたが、いくら最新の機器とはいえ、ここの部分が1.5cmのアンチョコ型(往診にもつかえる)だと、血行動態はおろか、心臓の手術をしなくてはいけない時期を逸する可能性があると思っています。 また、心リハ中の心電図は、運動中なので揺れてみにくいのですが、詳しく見ると分かることが少なくありません。 出来るだけ正しい判断と、診断をつけないで、流しているだけの心リハでは、クリニックで心リハ、ではなく、スポーツジムで運動するのと変わりません。 慢性期の安定した患者さまには、循環器専門医師であれば、急性期の経験がなくても出来る、と思っていましたが、今回、講演をさせていただくに際して、「心エコー」の詳しい知識、モニター心電図の読影、そして、私が恐らく「初めて」学会で教育講演させてもらった、「心臓病に隠れた癌」を意識しないのであれば、大病院でなく、クリニックでは「心リハ専門」は他のクリニックや大病院の循環器内科以外との連携が必要なことが再認識させられました。

「心リハ」は確かに、心臓病を持つ人にとっては、安心感を与える素晴らしい治療法ですが、そこで終了ではいけない、というのが、私の「心リハ道」です。 「心リハ術」どまりではいけないな、と、心臓リハビリテーションを勉強するのは当たり前で、その他の分野の最新の知見なども知るべきであると思います。