6月からはいくら診てもらっても咳がとまらない、という方を当院で私が診させていただき、2名、百日咳の方がおられました。 流行りの時期で、典型的な症状だったのですが、すぐに診断ができる疾患ではないので、「後医は名医」のごとく、後から診察した私が診断に関しては有利だったわけですが、少しは疑っても良かったのかな、と思ったことでした。

10月も中旬になり、寒暖の差で、風邪が流行っています。 私は呼吸器科の先輩医師から「内科で最も難しい疾患は、呼吸器の私からすると風邪だ」と聞かされて研鑽していました。 香川の四国こどもとおとなの医療センターでは、救急車でくるような方に対して、髄液をとり、髄膜炎の診断にいたり、治療をしたこともあります。 なかには、「肥厚性硬膜炎」という珍しい疾患を診断し、治療にあたったこともあります。

想像は知識に勝る、という格言があります。 休日はもちろん、平日に、風邪で診療所や病院にかかる人は、相当しんどい思いをしているのだろうと思って治療にあたるのはもちろん、その方が、今後どうなるのか、を予測する治療をしないといけない、と思って治療することが、私たち町医者の使命だと思っています。 これは大きな病院の救急外来などでは、そういう風に考えられないことも事実です。 実際に、夜間救急外来にいき「こんな症状でくるな」という態度をとられた! と怒って当院を来院される患者さんもおられます。 病院の規則や医師の本当の勤務時間でない夜間(実際は診療をしないことになっているが、これを厚労省が認めてしまうと、医療崩壊がますます進むので多くの医師が過労死するわけです)の気持ちも分かります。 ただ、そういう態度をとる医師や、普段でも同じような態度・処方をする医師は、なぜ医師になったのだろう? と不思議に思います。

相手コートにボールを叩き付ける、脳をはじめとする全身の組織に血液を供給する、のはアタッカーである左心室になり、左心室に血液をトスするのが、セッターである右心室ということになります。 右室に血液をくみ上げる、レシーバーの働きをするのが、筋肉の収縮(muscle pump)です。 心臓リハビリテーション(心リハ)で、有酸素運動をすることは、酸素の受け入れを容易にする治療であるため、相手チームのブロッカーを減らすことになります。 Fontan手術でほぼ右心機能がない症例もあります。 しかし、運動療法をしていれば、QOLが高まるという報告があります。 つまり、心リハで、筋トレ(レジスタンス・トレーニング)をすることはmuscle pump をきたえ、セッターがいなくても、アタッカーが打ち易いレシーブを上げることができる、と言い換えることが出来ます。 その他、塩分制限はセッターとアタッカーのシューズを軽くて良いものにする、など色んな表現ができると思います。

心エコー検査と握力で、どれくらいの能力が、アタッカー、セッター、レシーバーにあるかが分かります。

高価な機械がなくても(その機械で超重症例から軽症例までの研修をするという)知識があれば、心リハを実施することは可能です。
私は「四国こどともおとなの医療センター」で立ち上げた「心臓リハビリテーション部門」で高価な機器を購入し、研修をして、さらにその機器は当院関連の、福田心臓・消化器内科にも同様に存在します。 しかし、その機器だけが全てではありません。 前述のように、心エコー検査と握力測定で、どのような運動療法がいいのかが分かるのです。 「当院には最新の心リハの機器があります」と宣伝するような行為は、知識がない証拠だな、と私は思います。

私が、18歳で医学部に入り、サークル活動などはせず、毎日部活のバスケットボールに明け暮れてました。 医学部は6年制で、留年しなければ(結構留年生もいましたが)、普通に24歳で医師免許を取ることが出来ます。 さて、医者は「コードブルー」などのドラマ(観てませんが笑、違うドラマを観たりしてだいたい想像はつきます)とは全く違う世界観です。 医者の本音など出ていません。 実際は3Kの仕事であることを皆さん知りません。 きつい、きたない(感染症に自分がかかる可能性もある)、きびしい の 3Kです。 しかし、私は友人に恵まれ、5年制の夏から、そういった病院で仕事をしないと自分のため、ひいては患者さんのためにならない、と知り、色んな病院の見学に行ってました(当時としては珍しいと思います) 劣悪な環境のもと仕事をして、職人芸を自分のものにする訳です。 たとえば、日直・当直というのは、外来や入院を寝ないで診る、というのが法律なのですが、形骸化しています。 次の日に手術があった場合36時間勤務になり、手術した患者さんの様子を見るため、36時間以上ではすみません。 四国こどもとおとなの医療センターでは、当直が月7回あり、内科の当番、循環器の当番(2日に1回)があり、入院患者さんのために、入浴時も携帯電話を近くにおいてすぐに出られるようにしていました。
大病院で、入院患者さんを受け持たなくなった時点で、医師の緊急時の力量はおちることが多いのが現状です。 もちろん技術はます方も多くいますが、少ないと思います。 急変時の対応ができなくなるからです。
現在、40歳手前で開業する友人や後輩が多いのは、自分の力量がもっともピークな時に開業する、という意味では理にかなっています。 昔は50歳以上や時には60歳近くで開業する場合もあると思いますが、大学病院や救急病院で実績を上げてた人以外の開業は、40歳の開業でも「?」がつきます。 居場所がなくなっての開業の可能性が高いからです。 大病院でしたことのない医療を、突然「専門」にする開業には辟易します。 循環器内科では、「心臓リハビリテーション」でしょうか。 これを専門にするには、他のカテーテル治療や心エコーにも精通しなければいけませんが、開業直前までしていたのかどうか? 非常に不思議に思います。 このブログを読んでいるのは、MR(薬品会社の営業の方)が多いようですが、患者さんも見てくれているようですので、書きますが、少なくとも、私が大病院に勤務しているとしたら、この診療所には「絶対に」循環器の患者さんを送りたくない、というクリニックも、多く存在します。 自戒の念も込めて、昨日も今日も、明日までの連休は、論文(もちろんですが英語です…)を読んで、自分でも書いて、という作業をします。 家族サービスは基本しない、のが、私がみてきた理想の医者である父親の背中だったからです。
遊び回っている医者にろくな医者はいません。

講演内容は「ロトリガ」という、サプリメントのような医薬品についてです。

よく似た薬で「エパデール」という薬があります。

違いは、「ロトリガ」には、EPAとDHAが入っており、「エパデール」にはEPAのみ、ということ、

さらに、ロトリガは1日1回ですが、エパデールは1日2回の服用となっています。

「エパデール」は非常に優れた薬で、中性脂肪を下げ、血管を柔らかくします。

ただ後から発売された「ロトリガ」ですが、私の論文で「エパデール」と全く同じ効果があることを報告しています。

また、DHAは血管だけでなく、心臓への移行性もあり、分かりやすく説明すると、心臓の細胞を改善する効果があり、

不整脈が減少します。 心臓リハビリテーション中での報告は私が世界で初めて報告しています。

私自身、患者さんが、医療に対して「情報弱者」になって欲しくないので、自分自身が循環器以外の分野に対しても、情報をお話しさせていただくことが重要と思っています。
上記のようなことを知らず、昔からあるから、というだけで、漠然とエパデールのみ出すのは、患者さんに失礼になるかもしれない時代が来るかもしれません。

台風の影響を高知市内はうけずに過ごせました。 その後数日暑い日が続きましたが、夜は肌寒くなってきました。
さて、寒くなってくると、熱を逃がさないように血管が閉まるので、血圧が高くなる傾向になります。

高血圧という病気は遺伝の因子と、環境因子があります。

私は環境因子が、非常に重要と思い、栄養指導を勧めています。 そうすることによって、その方の周囲の人の食事が変わり、間接的に多くの人の助けになると思っているからです。 特に食事を子供さんに作っているお母さま方には非常に重要だと思います。

それでも血圧が高い方には降圧薬を飲んで頂きます。 遺伝の因子や年齢には逆らえないからです。 「飲んだら一生で嫌だ」という方がいますが、飲まない方が「脳出血」や「動脈硬化の進行スピード」の悪影響がデメリットなので、内服した方が良いことは多くの報告で立証されています。 もし血圧が下がってきたら、中止も考えます。
寒くなってきて、夏に私が少し減薬した降圧薬を元の冬用に戻す人が増えてきました。 出来るだけ、自宅血圧を目安に、患者さんと話し合って、薬は決定しています。 衣替えのタイミングより少し早め、が降圧薬の変更時期だと思っています。