寒さによって(寒冷刺激)、人間の体は熱を逃がさないように血管がギュッと閉まり、熱を逃がさないようにします。 高血圧の人は血管が硬いため、正常の方よりもこの影響を強く受け、血圧が上昇します。

さて、血圧の薬を飲まれている患者様へ。 血圧の薬の説明はうけたことがあるでしょうか? 私は必ず、現在使用が推奨されている薬をすべてあげ、なぜ薬が効くのか、またなぜこの薬を処方するのか、を説明するようにしています。

時間は限られているので、ものすごく細かいところまでは説明しないのですが、大まかに説明している内容を書かせていただきます。 処方が決まったら、その薬の副作用を説明するようにしています。

「現在、血圧の薬は4種類あります。血圧が上がらないようにするホルモンを調節して、さらに心臓やいろんな臓器を保護する作用を持つ中等度の強さの薬(ARB(エー・アール・ビー))、血管を拡張させて血圧を下げる薬(CCB(カルシウムチャネル・ブロッカー))、古い薬2種類が最近見直されてきていますが、尿中に塩分を出して血管をゆるます弱い作用の薬(利尿剤のうち、心不全に使うものではないもの)、脈を下げて心臓から血液が出て行くのをゆるやかにして血圧を下げる弱い作用の薬(β- blocker(ベータ・ブロッカー))です」

と説明しています。
実は上記4つ以外にも血圧を下げる薬はありますが、基本は上記4つです。

ARBとCCBは誰が出してもそんなに違いはないだろう、と思うかもしれませんが、ここに循環器専門医のセンスがでてくるところだと思います。他の薬に対してもです。高血圧の患者さんを見ていると、この薬がベストだな、というのがわかってきます。心エコーをしていたりするとより明確にわかります。 例えば、大動脈弁逆流があるのに、血圧をあまり下げなかったり、脈を遅くしたりする薬をチョイスするのはセンスレスです。逆流量が増えるからです。 CCBで代表的なのは、アムロジン、アテレック、カルブロックの3つです。アムロジン標準量が5mgなのですが、同じ標準量でアテレック10mgがありますが、効果はアムロジン3mgでしょう。カルブロックは16mgですが、アムロジン3.5mgくらいです。 ただ、アムロジンは血管を拡げすぎて脈が早くなってしまうことがあるのですが、アテレックとカルブロックはそういうことがありません。 つまり、脈が遅めの人にはアムロジンは良い選択ということにもなります。

5年ほど前、レニン拮抗薬という、発売されて1年で危ないから使わないこと、となった薬を含めた全国の勉強会に参加したことがありました。 なんと、演者は500人の医師が聞く中、一人の開業医の先生でした。 そこで「私は、レニン、アンジオテンシン、アルドステロンを抑制したい。 だから、レニン拮抗薬、ARB、ACE-I(ARBと似た薬)、アルダクトン(利尿剤の一種)の4剤でコントロールできない場合のみ、他の薬を使います」という何ともエキセントリックな内容。 すべて、血中のK値が上がるので、この先生の言いたいことや理論はわかるのですが、その処方に理屈はあってもエビデンス(証拠)がないので、私は賛同しかねました。
私が考える高血圧の薬の正しい処方は、少ない量から処方し、自宅血圧を重要視し、一つの薬だけを増量しないこと、だと思っています。

選挙と重なったり、台風の影響は高知では無視できません。 9月の台風が拍子抜け(高知市内では)だったので、余計に自然の脅威を恐ろしいと思います。 備えあって憂いなし、でしょうか。

さて、この備えは健康にも言えることです。 採血検査を健診や病院で行っても、記号と数字の羅列でわかなない、という方がおられます。 私もその場でたとえ話で説明するのですが、やはり数ヶ月すると毎日携わっていないことには疎くなってしまい、「これはなんだっけ?」となるのは当然と思います。

今日は一つ、腎機能の検査についてご説明させていただきます。

主はCre(クレアチニン)と、eGFR(イー・ジー・エフ・アール)でしょうか? 加えて、BUNもあります。

CreとBUNは血液中のゴミ、と考えてください。 Creが1.0になるとゴミが溜まってきている、2.0になると相当たまっている、5.0になると透析の準備(腕に「シャント」と呼ばれる、透析するときの血管の手術をすること)をしないといけません。 6.0-7.0で透析を開始しないと、心臓が止まってしまいます。
eGFRはCreから年齢・性別から算出された値で、ゴミを押し出す腎臓の力、と思ってもらって良いと思います。90以上が正常、60〜89が保たれている(軽度低下)、31-59は腎機能が中等度悪い、30以下は相当悪い、という感じです。 日本人でなんらかの慢性疾患を持っておられる方は、eGFRが60-89の方が最も多いとされています。 この時点では、あまり症状がでないことも多いので、採血検査で初めて判明することがあります

Creは濃度ですので、脱水のときは高くでます。 測りなおすと、eGFRが70だった人が90以上で正常、ということもあります。
さて、治療ですが、まずは塩分制限です。 その次、または同時に高血圧、糖尿病(、最近は脂質異常症も)などの治療が大事です。 運動は有酸素運動が推奨されています。
なぜ、腎機能が低下したかを、自宅血圧、糖尿病の検査、超音波検査などで腎臓を直接みること、が重要です。
ご不明な点がございましたら、医師に相談してください。

医師によって意見が違うと思いますが、私は、ワクチンをうけても「罹患する(かかる)」確率は同じだが、「罹患しても」重症化しにくい、という意見です。 (※ただ、根強い「罹患しにくい」という意見や報告もあり、確率を全くの同じとは言えず、かかりにくくなる可能性はあるのかもしれません)

ワクチンをうけたのに、罹患する確率が同じ、には明確な理由があります。 医学部の授業を受けて考えればすぐに分かることですが、口の中の粘膜の抗体はIgAというものが担当しています。 ワクチンで出来る抗体はIgGといって、血管内にあるものなので、粘膜への感染は防げないが、そこから血液内に入っても重症化しない、という理窟です。 他の説明や理窟は私は聞いていても、あまり納得ができるものが今の所ありません。 もちろん私は感染症専門医ではありませんが、「なんとなくかかりにくくなるよ」という根拠がない説明をうけて、ワクチンをうけるのと、理窟を聞いてうけるワクチンとでは、その後の生活スタイルが変わるはずだと私は思います。
なので結論としては、インフルエンザワクチンはどこでうけても一緒「ではない」、ということです。

持病を持つ方が、インフルエンザを甘く見ていると(診られていると)非常に危険です。 かかりつけ医も、そういったことを踏まえて考えた方が良いでしょう。

かかりつけ医として、通院中の患者様に、どのようにがん検診をされているか聞くことがあります(当然のことと思っています) がん検診そのものを「絶対にしない」という方もおられます。 昔、私が胃のバリウム検査をしていて、胃にポリープがあるな、と思った方に、胃カメラをしたら食道癌がみつかって、胃のポリープは「胃底腺ポリープ」という全く問題ないポリープだった経験から、バリウム検査を勧めることはやめました。 胃カメラで昔つらい思いをされた方が多いのか、どうも一宮地区では胃カメラだけはうけない、という方が多いことも事実です。 開業して1年と1ヶ月が過ぎますが、当初、胃カメラを80例目まで悪性疾患のパーセンテージを調べていましたが、80例中4人が早期の胃がんと食道がんで、お腹を開けずに内視鏡で手術ができ、今も通院されています(腹部エコー検査をいれると、ものすごい人数の方が悪性腫瘍を持っていました)
地域性もあるのかもしれませんが、がん検診をうけることの重要性を感じています。

ちなみに、胃がんが発生しそうなヘリコバクター・ピロリ菌を除菌した後の患者さんで、100人胃カメラすると、1.5人が悪性腫瘍がみつかる、という報告があるので、80人で4人は多い数だと思った次第です。

私は、四国こどもとおとなの医療センターで、心臓血管外科の先生との打ち合わせで、私の心エコー検査(食道から胃カメラのような「飲む」超音波までを含めることもありました)をして、その結果で「手術の適応があるかどうか」を決定していました。 また、手術中・後の異常についても同様に、カテーテル検査室で検査をしたりして、その後の経過を診ていました。 なので、「心臓専門」として開業しているのです。

今は、一町医者ですが、上記のように、通常の心エコー検査をするのですが、手術の適応が近くなったりすれば、心臓外科のある病院に紹介をするタイミングを逸することはありません。

少し勘違いされておられる方もいるかもしれませんが、「手術適応を大きな病院で決定していた」私が心エコー検査ができるのが当院の心臓専門としての大きなメリットです。 逆に当院で手術の適応がない方を大きな病院に紹介して、半年に一回、大きな病院で心エコー検査をする、というのは患者さんの負担にもなりますし、「違う医師の目でみる」ということ以上のメリットはありません。

当院で「私」が心エコーをする場合は、手術適応が近づいてきた、術後の不具合の可能性(大きな病院では、様々な検査ができるので(私自身がしていたことです))などで紹介のタイミングを逸さずに診療しています。

もちろん患者様の意向や、手術をした病院の意向もありますので、上記がすべてではありません。