RAS阻害薬とACE阻害薬という薬は似ていて、咳という副作用をなくした薬がRAS阻害薬です。 しかし、予後(長生き)に関しては日本で未発外のACE阻害薬のラミプリルが最強です。 英語の論文を直訳すると「高性能ACE阻害薬」と私は訳しています。 これに最も近い薬が、RAS阻害薬でミカルディス、という論文があります。 そのため、私はミカルディスか、腎臓内科の先生が使うことが多い、心臓にも腎臓にも良い影響を与える薬、アバプロの2種類を使うようにしています。 もちろん、他の薬も患者さんのcase by caseで投薬しています。
さて、私は基本、RAS阻害薬の「ディオバン」は基本的に使いません。 理由は、論文の不正があり「ケチ」がついたこと、また、24時間持続しない効果があるためです。 昼間だけ血圧が高い、という場合に使用することが時にあるのですが、今は使用を控えています。
最近、当院にこられた患者様で、糖尿病も悪く、心不全もあり、腎機能も悪い、という患者様がこられ、内服薬を確認すると、「ディオバン」「カルシウム拮抗薬」「ペルサンチン(尿のタンパクを減らす、ということですが、腎機能をよくするという論文はなく、現状「気休め」の薬といってもいいのですが、今後はわかりません。 私は処方は基本的にしない方針です)」がでていて、血糖値も200越え(朝食後ですから、夕食後は300弱と推測されます)、HbA1cも7.2%と相当悪いのですが、食事指導も内服薬も出ていません。 患者さんに聞いた所、ディオバンは効果の時間が少ないので、「カルシウム拮抗薬」でカバーするという説明がされ、心臓の検査はされたことがない、血糖値も「上等です」と言われたそうで、特に「ペルサンチン」で腎機能をよくしましょう、と言われたそうです。 これには疑問点が多々あります。 まず、ディオバンをやめて、腎機能を本気でよくする気概がないように思えました。 腎機能は高血圧、糖尿病、塩分のとりしぎ、などで悪くなるのですが、その治療がされてないため、少しびっくりした次第です。 ディオバンが理由なく処方された場合は、「私が患者なら」その病院・クリニックはかかりつけにはしません。 また尿たんぱくが、多くでているなら、まだしも、腎機能をよくするために、現状「ペルサンチン」を処方する、というのは、証拠がないので、どうかと思う次第です。 「ちくはぐ」な処方で、どうしてそういう薬になったのか疑問を呈さずにはいられません。 今後は私がみていく、ということになり、処方は変更する予定ですが、糖尿病で心不全にもきく薬を投与したところ、心不全も改善されて、患者さんは驚いていましたが、今までがどうかと思う次第で、「通常の」診療を私はしただけなのです。

主に血圧を下げる薬で新しい2種類は、RAS阻害薬とカルシウムチャネルブロッカー(CCB)の2つです。

もっとも新しいRAS阻害薬には、細胞レベルでの、レニン- アンジオテンシン- アルドステロン・システムの亢進を抑えることに加え、腎臓の圧力を下げることで、心臓や腎臓を守ります。

昔、といっても10年も経ってないのですが、ディオバン事件(ディオバンというRAS阻害薬の論文が嘘だった)の前に、直接レニン阻害薬(今は使わない薬になりました、あっというまに世に出て、あっというまに消えて行きました。 私は論文をみてから導入を考えようと思っていたら、糖尿病の方には悪いことをする可能性、などの論文をみて使用を一回もしていません。 結果的に、患者さんの体に悪いものを投与することがありませんでした)、ディオバン、ACE阻害薬(RAS阻害薬の昔の薬ですが、ラミプリルという日本未発売の最強の薬が存在します)、スピロノラクトン(K保持性利尿薬)を「すべて投与しています」と全国の薬剤説明会で発表した開業医の先生がいますが、今はどうなっているのでしょう。 理屈がいくらあっても、その後の臨床のデータをじっくりをみていく方が、私は安全かな、と思っています。

エキセントリックな処方をみかけることがありますが、臨床のデータが豊富でない場合は、独りよがりな処方となると思いますし、最近思うのは、とくに糖尿病で、15年前の処方をみかけることもあり、格言の「自分がみないリスク」というのを思うこともあります。 糖尿病治療が苦手とすら思ってない場合があったり、「これで大丈夫だろう」と思っておられる場合があるのかな、と思う次第です。

岡村病院の院長を中心とした、勉強会に高知に帰ってきてから参加させていただいています。 私が留学したあたりから、20年以上続いた勉強会も一旦休みになっていたそうですが、昨日行われました。 岡村院長の講義は素晴らしく、閉塞性動脈硬化症(足の血管が細くなってしまう病気)については、この講義で本州にいかなくてもいい、というくらいハイレベルは講義で、いつも感動すら覚えます。 私も以前から、数回順番でスライドを作って発表をしていました。 次回の勉強会は、私が講師となりました。 テーマは心臓リハビリにしようと思っています。
開業するには簡単だけども、クリニックレベルでするには、心リハだけになってしまい、通常の診療がおろそかになってしまうこと(これは私が開業して思ったことです、最低でも有床診療所か、相当な人数を確保してないと、クリニックではできません)が懸念されます。 開業したり、始めることは非常に簡単です。 しかし、大きな病院で経験もなく「専門です」はもはや詐欺です。 そういった内容は学会でもやりとりされています。 病院で始めるなら非常にいいことだと思います。 レベルの低い医師が、専門性がないため、隙間産業的に「心リハ専門です」はもはや罪の時代になってきているのです。

報告→連絡→相談 を 「ほうれんそう」と言い、入社などをすると徹底するように研修などで言われると思います。

私は疑問に思います。 特に医療業界ではこの順番では全く意味がない、と思います。

「逆」が正しいと思っています。つまり、相談→連絡→報告 です。

何か起こったことを、自分で処理してしまい、仮に想定外のことが起こった時に、それを報告して、、、って、先に相談していれば、想定外のことが起こらないのです。 つまり何をしようにも、自分の判断でしないこと、です。 まずは相談ありきです。 当院でも徹底しようと思っています。 しかし、当院だけが徹底しても、まずは相手に相談、ということが他の施設でされていなければ、患者さんにとって迷惑をかけることになります。 医療業界では、起こったことの報告なんかよりも、起こる前に相談を上司に必ずすること、を徹底してほしいと思います。

これは留学中に学んだことでもあります。 合理的なアメリカならではと思いました。 ボスが全ての情報を管理でき、仕事がスムースに進みます。 個人個人が勝手に動いていては、実験の目的も結果もめちゃくちゃになってしまうからです。 何か「これは自分で判断しないほうがいいな」と思ったら、まずは相談をする組織作りが、院長である私には重要であると感じる出来事が数例一日にあったためブログに書いた次第です。

映画「マネー・ボール」という、ブラッド・ピットが演じた、セイバーメトリクスという考え方で、野球選手を評価して、強いチーム作りをするという考え方が米国では主流になっているそうです。 日本では、打率、本塁打数、盗塁、などの数で評価することが多いですよね。 今後は日本の野球にも統計学的な考え方が出てくると思っています。

さて、医師も統計学ができないといけません。 複雑な計算式は必要ありません。 自分で統計ソフトを使うことで答えを導き出すことは、誰かが書いた論文を正しく評価できることにつながるからです。 統計学ができないと、相手のことを鵜呑みにしてしまう、ということになります。 自分で論文もかけないでしょう。 私自身は先輩医師や、統計学のセミナーで勤務医のころ学びました。 そこに経験や理屈、信念が加わることが大事だと思います。 医師を含めた医療関係者も、いくら能力が優れていても、その能力をいかせないと、チームとしては不適当となってしまいます。 ここで私が重要視しているのが、「思いやりの心」「ちょっとした言い方、一言のかけ方」だと思います。 これがなく、自分勝手な言い分だけの人は、損をすることになると思っています。

さて、映画「マネー・ボール」は、給料の安い選手だけども、サイバーメトリクスが高い選手を集めると「ある程度」強い球団になった、という実話ですが、その後は弱体化しているのが実際の話です。 つまり、統計学だけでもダメで、選手の性格、感情までは、実際の経験からチーム作りが大事なのだな、と思っています。