私自身は、急性心不全の患者さんを香川の医療センターで担当しており、「偽痛風」という、心不全治療中に起こる膝の腫れと発赤を、自分自身で最初は整形外科の先生に教えてもらいながら、水を抜いて、病理医学の先生と一緒に「偏光顕微鏡」で観察していたので、膝関節症の方に関しても「ヒアルロン酸」という油を注射して、痛みをとったり、人工関節手術までの期間を延ばすことができます。 ここで私自身のコツというか患者さんに負担がかからない方法の2つがあり、1つ目は、絶対に感染を起こさないように、滅菌の手袋をして、消毒を何度もして、注射する部位の周りを清潔にして、万全を期して注射すること、と、2つ目は、最初に注射を膝にするときは、ヒアルロン酸は入れずに、麻酔薬だけいれることが大事だと思っています。 油をいきなり入れると、筋肉が引き伸ばされて2日間ほど痛みが逆に出る人がなかにはいるからです。

肩こりの注射は、筋肉と筋肉の間に、以前はエコーを使いながら注射をしていたのですが、感覚もわかってきたころからは、エコーの料金が患者さんの負担になるので、麻酔薬と血流をよくするネオビタカインという注射をしています。 持つ人で1週間、短い人で、3−4日は持ちますし、1回の注射で良くなる人もいます。 ちなみに、腰にも注射することがあります。 ぎっくり腰や、普通の腰痛のも効果があります。

実際に自身や父親がぎっくり腰になったときは、お互いに注射して治しています。

開業時より続けています。 今週の日曜日の朝刊に掲載されます。 今回のテーマは「心臓リハビリテーション」です。 新聞社におくった原稿から、ライターさんを通して、「優位性を書いてはいけない」=自分が他の医師よりすぐれていると書いてはいけない、「上から目線の掲載は控えてほしい」、という内容で、文章が少し変えられました。 ライターさんも「過剰に反応しすぎているけども、仕方ないですね」ということで承諾しました。 当初の内容は、「今度、発刊される心臓リハビリテーションの教科書の執筆者に選出されたので、医療関係者の方にも知ってほしい内容として、その本の一部を今回書かせていいただきました」 という内容だったのですが、

「選任された」→「他の医師より優れている」 そういう事実がある、という、信憑性を書いたつもりですが、ダメのようですね。

「医療関係者の方にも知ってほしい」→「他の医療関係者は知らない内容を教える、ということで上から目線」 実際に論文の紹介など、医療従事者が買う本の内容の一部を抜粋したので、そう書いたのですが、これもダメなようです。

直された文章のほうが、よっぽど、えらそう、に思えたので、私の方で、修正させていただきましたが、結局、何を書きたかったのかが、わかりづらくなってしまった、と感じました。

ただ、最近は細かいことが大事、と私も思っているので、そういう指摘は勉強にもなります。
今度、徳島で講演をするのですが、かなり以前から、秘書をしている知り合いがいるのですが、メールでのやり取りで、「不満があっても、口にだすと自分が嫌いになるので、決して人の陰口は言わないですね」というメールがあり、非常に心うたれました。 ちょっとした一言が大事、と結婚式の友人代表のスピーチで必ず私は行ってきたのですが(今でも大事だと思っています)、その方の考え方や生き様は素晴らしいと思った次第です。

私は、自身の父親もですが、研修先で指導をうけた、心臓血管外科の金香先生が最も優れたリーダーではないか、と思っています。 現、吹田徳洲会病院の院長です。 金香先生のすべてを知っているわけではありませんが、とりあえず、「心臓リハビリテーション」を私ができるようになったのは金香先生のおかげです。
私が感じていたのは、金香先生は、皆んなにとってできるだけbetterで、時には一人にとってbestな方法(これは皆んなにとってはbetterではなくなるのですが、金香先生を信頼している人からすると、金香先生の気持ちがわかるので不思議です)をとっていたような気がします。 それは金香先生が患者さん思いだったから、だと思います。

患者さんに対しては、私はbestな方法を必ず考えて、話し合いの後、患者さんの意見もきいて、次にbetterなのはなにか、と治療方針を決定します。 患者さんにとってのbestが現代の治療で「最もよい」とされているわけでは決してないこともあるからです。 ただ、医師としてはbestな方法を提示することが大事だと思っています。

自分だったら、と考えながら、他人の立場になったら、と最後に、最も良いのは? と、考えるのが大事だと思います。 これをみんなが実践するのが、働きやすい職場、だと思います。

プロとして働く以上、ある一定以上の能力は必要でしょうが、その能力自体も最初は知識だけで、もしくは知識もない場合もあります。

私のプロの定義は、人に教えることができること、です。

誰も怒られながら教わりたくないし、自分でも丁寧に優しくめんどくさがらずに教えてほしいものです。 「甘え」ではないと思います。 これが「甘え」なのだとしたら、私はそこで働きません。 初めてすることや、人間なのでミスをすることはあるでしょう(医療関係でも命に直結しないミスはありますが、救急の場面などではミスは許されませんので、そういう場合は「強く」叱ること、叱られること、は絶対的に必要です)

人それぞれのスピードや記憶力で、頑張って覚えようと、謙虚な姿勢でするときに、その気持ちをそぐようなことはあってはないと思う次第です。 「前言っただろ」 「何度同じことを言わせるんだ」も、相当変なミスでなければ、言い方ひとつで、だいぶ変わってくるものです。

プロ野球選手などでは、自分の技術を他人に教える事は、いわば「個人事業主」である選手にとって致命的なことがあり、見て盗ませない事も大事かもしれません。 また教えることで、将来「コーチ」として自分を売り込むチャンスと考える選手もいるでしょうし、球団のオーナーはそういうところで「コーチ」として雇うかどうかを決定しているでしょう(コネなどもありそうですが)

さて医療業界において、「じゃあ、私がやっているのを見て、覚えてね」という人がいます。 私はそういう上司は間違っていると思っています。 最低限+役にたつ情報は共有し合うべきだと思います。 ちなみに、私の医療技術についても全てをさらけだすことは、めったにありません。 少しばかりの「コツ」は自分だけのもの、だと思っています、これはどの医者にも言える事だと思っています。
では、どこまで教えるか? それは、一応「全て」です。 自分だけのコツ、は教える必要はないでしょう。 その人の財産でしょうから。 「全て」というのは、患者さんが困らない、という点です。 また教え方も大事です。 叱って教える、などもってのほかで、自分の仕事を止めてでも、相談されたことが大事なことなら親身になって教えるべきでしょう。 大事かどうかは、相手の立場にたつ事が大事です。 私も急いでいるときなどは、イライラしてしまうことがあり、反省することもありますが、怒ったり、立場をわきまえない言動などは、職場の空気を汚す行為でしょう。
医療現場で、能力は抜きん出いても、好き嫌いの激しいことで有名で、「イチロー」(私は大ファンですが)のような選手ばかりだと、クリニックはなりたたない、と客観的に思います。 ちなみに「イチロー」のいた数球団全ては優勝経験が「ゼロ」なのはご存知の方もおられると思います。