昔は、「薬をきちんと飲んでいるかどうか」という、意味の「コンプライアンス(厳守)」という言葉が使われていましたが、最近は「アドヒアランス」に変わっていますが、薬のメーカーさん、薬剤師さんも、ひょっとすると医師もついていけてない方も、変化についていてけてないかもしれません。
これは英文の論文と、私なりの私見ですが、

アドヒアランス = コンプライアンス + アグリーメント(納得)

だと、思ってもらうと分かり易いのではないでしょうか? つまり、患者さんが「納得して」薬を飲むことが、アドヒアランスなのです。 ただ単に、きちんと飲む、よりも大事なことなのです。
つまり、私ども医師が薬の説明をきちんとしないといけない時代になってきているので、こういった言葉がでてきているのです。

薬の相談は、いつでも受け付けますので、来院してください。 「なんで、この薬を飲まないといけないの?」「こういう薬が大事と聞きましたが」「血圧が低いけど大丈夫なの?」など。 「納得」してもらわないと、薬の効果も半減するな、と感じていますので。

昔は、医者を10年してれば、みんな同じレベル、と書いた書物もあります。 当時は助教授(今でいう准教授)で、現在は、とある私立の医学部の教授の本に書かれていました。 私は医学生から医師になった瞬間に違う、と感じました。 京都の第一赤十字病院で研修しましたが、同期の医師の貪欲さにびっくりするとともに、負けてなるものか、と対抗し、その後、徳島大学の医局に入って、そこでもレベルの高さに驚きました。 相手は世界なのです。 そして、私自身は現:こどもとおとなの医療センターで異例の5年間の研鑽を積むことになりますが、医師のレベルは、みんな同じレベルにはなりません。 赴任させていただいた医療センターはいわゆる「最終拠点病院」で、救急車を断ると行くところがない、という病院です(もろもろの理由で断らざるをえない場合もありましたが、必ず明確な理由が必要でした) 人の2倍働けば、5年でも10年勉強した、経験した、と思い夏休みもろくにとりませんでした。 学会も全て参加し、その分当直が過酷になりました。 循環器外来だけでなく、一般内科外来をしていたことも、放射線科で研鑽したことも、自費で心臓の手術のの経験(豚の心臓です)を何度もし、心エコー検査も自施設だけでなくセミナーにいってました。 ICU(集中治療室)が全て私の患者さんで埋まったこともありました。 携帯電話は入浴時にはすぐでられるように、少しドアをあけて、近くに置いていました。 心臓リハビリテーションも、心臓血管外科がある施設で、センター長をし、責任をもってして、それを高知にもってきて、高知市で初めて外来心リハを始めました。 最近は開業するときに、内科なのに、とある分野に「特化」した開業をする先生もいます。 私の考えと正反対です。 例えば心リハだけしていてもダメなのです。 経験があると分かるはずなのですが、、、
最終拠点病院で、責任をもって、自分の考えでカテーテル治療、心エコー診断、重症の心不全治療をすることで、心臓リハビリはすることが許されると思っています。
医師は年齢ではなく、濃い経験をした医師が優れている、と言っても異論はないと思います。 私は若く開業しましたが(最近は多いですね)、同じ年齢でも、循環器内科だけでなく、一般内科でも血液内科や消化器内科、呼吸器内科に関しても専門医と共に治療を私が主治医として治療していましたので、それほど責任もなく、さぼった医師はいくら年上の医師だとしても、身内は診てもらいたくないし、紹介する先生は一流の医師を選んで紹介させていただいています。 それが当院のモットーです。 かかりつけ医を選ぶときは、その医師がさぼった期間(だいたいがさぼった医師は、ガムシャラに研鑽していないのが相場です)の病院をみればだいたい分かります。

とある胃腸科のクリニックが少し前に新聞の広告で書いた内容です。 ABC検診はまだまだ確立されていません。 参考にするにはいいとおもいますが。 さらに、胃はまぁよしとして、食道や喉頭、声帯は胃カメラでみなくて良いのでしょうか? タバコをすって、お酒も飲む方に、ABC検診で「貴方は胃カメラしなくても良いです」は、「間違い」です。 私はそう思います。
さてバリウム検査ですが、これも先進国でしているのは日本だけで、すでに廃れてきている検査です。 私も昔はこの検査をしていましたが、全く意味がなく、早期の食道がんを見逃す可能性があるので、受けない方がいいでしょう。 当院では、バリウム検査はしていません。 出来る器具はありますが、私自身が患者さんのことを思うと、とても責任を持てません。
医療は変わっていくものですが、バリウム検査が今後なくなることは間違いないでしょう。 ABC検診はしぶとく生き残り、あくまで「胃」にたいする、リスクの層別化につかわれることになると思います。

このCM、本当に本気なのかな? と思いました。 私自身、心音では日本でもトップにいると言っても過言ではない、福田信夫先生のもとで、ほぼマンツーマンで修行をしました。 そこで分かったことは、自分一人では本を読んでも、それにDVDやCDが付いていても、勉強にはならない、という事実でした。 さらに、聴診(ここでは心音)の技術は、極めた循環器内科医>聴診が得意な医師のもとでトレーニングを積んだ循環器内科医=一流の心臓外科医>一般の循環器内科医=一般内科医 (聴診を習っていない、自己流であることが多い) という事実です。
つまり、弁膜症かも、と思った患者さんがいくら、そこらの医師にかかっても、「聴き逃される」でしょう。 (医師の立場にたって話をすすめています。 医師であれば大きな異論はないでしょうし、上記が現実なのです。 実際に、定期的に他院に通院している患者さんの激しい雑音が聴き逃されているのを何度も経験しています、その弁膜症が手術適応だとしても、、、) そこまで考えてCMを垂れ流しているのかな? と思います。
私が現在執筆している本では、心エコーの本(心臓リハビリテーションの本(一部を書かせて頂きました)はクリニックに置いています))には、聴診を重視しています。 これは今までの心エコーの本とは全く違う点です。 良い指導者に巡り会えたことに感謝し、同時に今後も研鑽していく所存です。

上記は、第4回の院内の勉強会でもした内容になります。 私は、心機能をよくするため、アンジオテンシンIIという物質が悪さをするのを防ぐために、その物質が臓器のレセプター(鍵穴)にくっつくのを防ぐために、内服してもらいます。 血圧が高ければ標準量で、降圧は確実な効果をもつ血管拡張薬をメインで使用します。 ARBだけで血圧が下がるなら一番良いと思っています。 さて、最近びっくりしたのが、腎機能が悪いのに、標準の倍の量のARBが投与されている患者さんが熱中症でこられました。 腎臓を守るためには、簡単に言うと、4つの方法があり糸球体という部分の圧を下げる方法で①ARBで尿を濾す力を少し減らしてあげる方法、②なにせ降圧(血圧を下げること)、③塩分を減少させる方法に加え、④微小な血流が糸球体を栄養しているのですが、糖尿病などでその微小血管が潰れてしまい腎機能が悪くなるので、糖尿病をよくすることや血流を減らさないことです。 つまり、熱中症でこられた患者さんは、ARBが倍量投与されており、尿を漉せなくなり(最悪透析治療が必要になります、今回、今年の1月に当院で採血していたときの腎機能は半分になっていました、、、腹立たしい思いです)、さらに脱水で血流が悪くなり、悪循環になっています。 飲んだ薬は体から出せません。 投薬する医師の知識のなさで、患者さんの腎機能は著しく落ちてしまいました。 私自身が今は治療を行って、リカバリーをできるだけするようにしていますが、どこまで戻るか、非常に心配です。

さらに、びっくりしたのが、SU剤といって、私自身はもう開業して1錠も投薬していない薬で、自分の膵臓に鞭をうって、無理やりインスリンを出させる薬です。 副作用も多く、低血糖で死亡もありえます。 いろんな事情で、一時的に仕方なく低血糖に気をつけながら投薬することもありますが、怖い薬です。 しかし、15〜20年前は非常に良い薬とされており、「山奥でなかなか、病院にこれなかったり、理解力が低い患者さんには、アマリール(SU剤)が効いてなくても、出しておけば、そんなに糖尿病は悪くならない」という、とんでもない講演会があったのも事実です。 そうです、このSU剤は2次無効といって効かなくなってくるのです。 その状態で使い続けると副作用しかでません。 そんな方が、薬を旅行先でなくなったからだしてくれないか、といってこられました。 おそらく2次無効になっており、腰を据えて治療することを勧めましたが、「今まで5年以上同じ薬だから」と。 その方のバックボーンが分からないため、この薬でしかダメ、なのかもしれませんし、一概に一度だけ診させていただいた私が今までの経過がわからず違った処方もできないため、「必ず早く主治医のところにいってください」といって、帰る日までの処方を出させていただきました。
こういった、昔ながらの治療が横行し、さらに新しいが例外がある治療を経験が少ないから予想が立てられずに処方される場合があり、非常にレベルの低さに嘆いています。 自分自身がそうならないように、本を書き、論文をかき、発表をすることを続けていくつもりです。