聞きなれい言葉だと思いますが、「drug effect(ドラッグ・エフェクト)」というのは、似たような種類の薬で、このカテゴリー別の作用を示します。 細かいのが「class effect(クラス・エフェクト)」で、同じカテゴリーの薬でも、作用が違う、という点です。

私は当然「ドラッグ・エフェクト」は意識し、さらに「クラス・エフェクト」を日々、論文や研究会、自身の研究結果などを意識して処方するようにしています。 というか、これは当然のことです。

例えば、ARBという血圧をさげる薬のカテゴリーがありますが、腎機能が低下している例には「アバプロ(イルべサルタン)」を使うようにしています。 他のARBよりも腎機能保護作用の論文が多いのです。 全てARBは同じだ、という考えは間違っています。

Case by caseで、その人にあった処方をするのが、当然だと思い、日々精進しています。 ただ、患者さまの考えも尊重しながら、はいうまでもないことです。

当院では骨密度を測定できます。 他の一般内科では採血検査で、骨の代謝のマーカー(数種類あって、どれがいいかは確立されていません)で効果判定をしているところもあるようですが、私は経験上、骨密度の方が安定している検査だと思っています。

さて、骨粗鬆症の診断は、「骨密度」を計測し、20歳の骨の丈夫さと比べて、70%未満であれば診断がつき、治療の対象となります。

他に、治療の適応となるのは、骨密度によらず、圧迫骨折がある方、もしくは大腿骨頚部骨折がある方です。 寝たきり予防、ということですね。

実は骨の強さは、「骨強度」が大事で、「骨強度」=「骨密度」×「骨代謝」 で、表されます。 直接、骨強度をみることは、大学病院でもしているところとしていないところがあると思います。 四国でしているところは、私の知識ではありません。

さて、治療ですが、最低、vit D、それも活性型で、「エディロール」だけが推奨されています。 しかも規格は、0.75μgで、0.5μgは採血で高Ca血症が出現したときに変更する、となっています。 他のビタミンD製剤は私は処方しませんが、エディロールで、なにか気分不良があったりした場合にに処方を変えることはあります。 ちなみに、カルシウム製剤は定期薬で必要ありません。

そして、必要と判断した場合は、骨からカルシウムが溶けないようにする薬、「ビスホスホネート」が必要になってきます。 起床時に80mlの水分で内服し(最近は月に1回の内服薬もありますが、ステロイドで骨粗鬆症になっていない場合を除き、内服よりも注射が推奨されています)たり、月に一回、静脈注射の薬が最も推奨されています。 顎骨壊死という副作用があり、抜歯が予定されている方は飲む、もしくは、注射をやめて3ヶ月後にすれば良い、とされています。 海外の論文では、「ビスホスホネート」の効果は3年程度とされていますが、日本では5-7年とされており、永久に飲んでいる症例もあります。 この辺はどちらが正しいかは分かりませんが、私が読んだ論文では、ビスホスホネートの静脈注射3年後から、下記に紹介する、6ヶ月に1回の皮下注射のプラリアに切り替えるのがいい、という論文もあります。

最初から、プラリアを注射することも推奨度はAとされており、当院でもそういう方が多くおられます。 この薬は骨代謝を良くし、間接的に骨密度も良くする、という薬です。

内服薬のビスホスホネートは私は飲むのが大変だし、逆流性食道炎の副作用もある、さらに推奨度がステロイドを飲んでない場合はBと落ちるので、静脈注射か皮下注射を勧めています(もちろん患者様の希望も聞いた上ですが、内服薬しか知らない患者様もいることも事実です)
ビスホスホネートの静脈注射は定期受診時にすぐに出来ますので、忘れることもないし、6ヶ月に1回(厳密にピッタリでなくても(前)後1ヶ月空いても問題ないと考えていますが、しかし薬の蓄積性を考えると、予定日より先に皮下注射するよりも、後にした方がいい、と思っています)

内服薬では筋肉痛はないのですが、注射は骨からカルシウムが溶け出さない効果が早くでるので、そういった副作用を防ぐ為に、3日間、カルシウム配合製剤と、場合によっては軽い痛み止め、を飲んでもらうようにすると副作用は今まで経験していません。 皮下注射ではまずでないと思いますが、年のため、飲んで悪い薬ではありませんし、カルシウム配合製剤だけが多いのですが、3日間内服してもらっています。

つまり、基本、ビタミンDの「エディロール」しかも0.75μgを内服してもらい、ビスホスホネート製剤か、プラリア、をするかどうか、が基本になります。

上記は、今現在の推奨されている処方なので、今後、新しい薬がでて、変わる可能性もありますが、基本は大きく変わらないと思います。 ちなみに、テリボンという副甲状腺に働きかける注射の薬は日本で開発されたのですが、推奨度は高くありません。 私は使わない方針です。
※ワーファリンを飲んでいると、ビタミンK阻害薬なので、ビタミンKも骨粗鬆症の原因なので、グラケー、という薬を飲んでもらうこともあります。

骨密度が良くならない、という患者様がおられましたら、一度当院を来院してみてください。

昔は、「薬をきちんと飲んでいるかどうか」という、意味の「コンプライアンス(厳守)」という言葉が使われていましたが、最近は「アドヒアランス」に変わっていますが、薬のメーカーさん、薬剤師さんも、ひょっとすると医師もついていけてない方も、変化についていてけてないかもしれません。
これは英文の論文と、私なりの私見ですが、

アドヒアランス = コンプライアンス + アグリーメント(納得)

だと、思ってもらうと分かり易いのではないでしょうか? つまり、患者さんが「納得して」薬を飲むことが、アドヒアランスなのです。 ただ単に、きちんと飲む、よりも大事なことなのです。
つまり、私ども医師が薬の説明をきちんとしないといけない時代になってきているので、こういった言葉がでてきているのです。

薬の相談は、いつでも受け付けますので、来院してください。 「なんで、この薬を飲まないといけないの?」「こういう薬が大事と聞きましたが」「血圧が低いけど大丈夫なの?」など。 「納得」してもらわないと、薬の効果も半減するな、と感じていますので。

昔は、医者を10年してれば、みんな同じレベル、と書いた書物もあります。 当時は助教授(今でいう准教授)で、現在は、とある私立の医学部の教授の本に書かれていました。 私は医学生から医師になった瞬間に違う、と感じました。 京都の第一赤十字病院で研修しましたが、同期の医師の貪欲さにびっくりするとともに、負けてなるものか、と対抗し、その後、徳島大学の医局に入って、そこでもレベルの高さに驚きました。 相手は世界なのです。 そして、私自身は現:こどもとおとなの医療センターで異例の5年間の研鑽を積むことになりますが、医師のレベルは、みんな同じレベルにはなりません。 赴任させていただいた医療センターはいわゆる「最終拠点病院」で、救急車を断ると行くところがない、という病院です(もろもろの理由で断らざるをえない場合もありましたが、必ず明確な理由が必要でした) 人の2倍働けば、5年でも10年勉強した、経験した、と思い夏休みもろくにとりませんでした。 学会も全て参加し、その分当直が過酷になりました。 循環器外来だけでなく、一般内科外来をしていたことも、放射線科で研鑽したことも、自費で心臓の手術のの経験(豚の心臓です)を何度もし、心エコー検査も自施設だけでなくセミナーにいってました。 ICU(集中治療室)が全て私の患者さんで埋まったこともありました。 携帯電話は入浴時にはすぐでられるように、少しドアをあけて、近くに置いていました。 心臓リハビリテーションも、心臓血管外科がある施設で、センター長をし、責任をもってして、それを高知にもってきて、高知市で初めて外来心リハを始めました。 最近は開業するときに、内科なのに、とある分野に「特化」した開業をする先生もいます。 私の考えと正反対です。 例えば心リハだけしていてもダメなのです。 経験があると分かるはずなのですが、、、
最終拠点病院で、責任をもって、自分の考えでカテーテル治療、心エコー診断、重症の心不全治療をすることで、心臓リハビリはすることが許されると思っています。
医師は年齢ではなく、濃い経験をした医師が優れている、と言っても異論はないと思います。 私は若く開業しましたが(最近は多いですね)、同じ年齢でも、循環器内科だけでなく、一般内科でも血液内科や消化器内科、呼吸器内科に関しても専門医と共に治療を私が主治医として治療していましたので、それほど責任もなく、さぼった医師はいくら年上の医師だとしても、身内は診てもらいたくないし、紹介する先生は一流の医師を選んで紹介させていただいています。 それが当院のモットーです。 かかりつけ医を選ぶときは、その医師がさぼった期間(だいたいがさぼった医師は、ガムシャラに研鑽していないのが相場です)の病院をみればだいたい分かります。

とある胃腸科のクリニックが少し前に新聞の広告で書いた内容です。 ABC検診はまだまだ確立されていません。 参考にするにはいいとおもいますが。 さらに、胃はまぁよしとして、食道や喉頭、声帯は胃カメラでみなくて良いのでしょうか? タバコをすって、お酒も飲む方に、ABC検診で「貴方は胃カメラしなくても良いです」は、「間違い」です。 私はそう思います。
さてバリウム検査ですが、これも先進国でしているのは日本だけで、すでに廃れてきている検査です。 私も昔はこの検査をしていましたが、全く意味がなく、早期の食道がんを見逃す可能性があるので、受けない方がいいでしょう。 当院では、バリウム検査はしていません。 出来る器具はありますが、私自身が患者さんのことを思うと、とても責任を持てません。
医療は変わっていくものですが、バリウム検査が今後なくなることは間違いないでしょう。 ABC検診はしぶとく生き残り、あくまで「胃」にたいする、リスクの層別化につかわれることになると思います。