私のオーベン(指導医)からの教えですが、医療を漠然としていては医師の腕はおちていく一方です。

他人から最近のトピックについて、研究会などで教えてもらうだけ、も、腕は落ちていくと私は思っています。

自分がわからない部分をそのままにしない姿勢、それに加え、研究をして論文を書く(今年になって2枚書いてacceptされました)ことで色々調べ物を英語でして、最新の情報がわかります。 いわばその道のプロになるつもりで論文は書くものです。

それをもって、患者さんの治療にあたるべきだと思います。 医師免許をもっただけの人は医師ではありません。

糖尿病のガイドラインは大きく変わって、HbA1cという1-2ヶ月の血糖値の平均値が、6.0以下が望ましい、7.0以上は合併症がでる、8.0以上はその確率が大きい、というものですが、これは、以前と比較して、「低血糖にならないように、甘くしたガイドライン」であると聞いています。 低血糖は直接死に至ることもあります(もちろん高血糖もそうですが、低血糖のほうが危ない)が、場合によっては、8.0以上でも8.5以下ならコントロールは十分である、という文言もあります。

その中にSU剤という、簡単に言うと、膵臓にムチをうって、無理やりインスリンを出させる薬です。 当院ではこの危ない薬は処方しません。 20年まえほどは、この薬が主流で、他の良い薬がなかったのもあったのですが、当院では他院で処方されている強いSU剤を患者様の同意をえて、弱い薬に変え、その後、SU剤を中止するようにして、現在糖尿病の方に処方することはしていません。 SU剤は簡単に血糖をさげることができますが、下がった血糖はひょっとすると血管の内側に溜まっているかもしれません。 できれば使わないことが推奨されています。 その代わり、超短時間の食直前にインスリンをださせる、膵臓に負担が少ない処方はします。
もちろん、case by caseのこともあり、SU剤がでたら駄目、というわけではありませんが、まずは「食事療法」、「有酸素運動」、そして食後血糖を意識した処方が大事だと思っています。 これは、四国こどもとおとなの医療センターで、HbA1cが高い人は、ステント治療ができないことがある、という経験から、低血糖に十分気をつけて処方を心がけています。

男性の方で、50−60歳台のかたで、イライラする、不安感がある、元気や気力がない、などといった症状があれば、男性にも更年期症候群があります。

検査としては、男性ホルモン2種類を採血し、値が低ければ、漢方薬などを処方します。

それでも改善がなければ、ホルモン注射をしている大病院に紹介となりますが、まずはそういった症状がある方はお声をかけてください。

もし、LOH症候群だとしても、漢方薬数ヶ月で改善が見込める例も多くあります。

偶然、エコー検査で見つかった場合、まず癌との鑑別が必要になります。 古い20年前の論文からガイドライン(治療の方針)はできていますが、癌でなかった場合、みなさんはどう考えるでしょうか? 癌ではないからほっておく、それも一つの考えでしょうが、医療保険を使わない検診のエコー(動脈、膀胱、前立腺、腹痛時の腸、卵巣はみてくれません。 人間ドック協会のきまりです。 高血圧で大動脈瘤などがあれば、非常に怖いと思うのですが、未だにその部分は変わっていません。

さて、私は表題にある病気が見つかった場合、1年毎(丁度検診をうけるような感じですね)に腹部エコーをしていくのが良いと思っています。 病気の場所、大きさで、癌化する因子であることも報告されているからです。

癌にはならないと言われた、という方もおられますが、あくまで日本の古い論文であり、医療は刻々と変わっていく中、なにもしない、は致命的に今後なっていくことを考えると、医療保険を使って超音波専門医にみてもらうのがいいでしょう。 2年に1回でもいいかもしれませんが、腫瘍マーカーなどを測定したほうがその場合いいでしょう。

諸説あると思いますが、胆嚢腺筋腫症によっては手術をしたほうがいい、となる場合もある事例も何例も経験しています。

もうバリウム検査をすることに疑問を持つ人もいると思いますが(私が最初習ったのは、早期の食道癌を見つけようとするなら、粘稠度の違うバリウムで衝動は2回みる、というものでしたが、そういったことをしている医師に今まで出会ったことがありません)、バリウムでも、胃カメラでも、「検査が陰性でも、これは以前ピロリ菌がいたに違いない」という、胃の粘膜が萎縮している人が多くいます。 原因は、風邪で抗生剤を飲むことが多かったり、肺炎や腸炎、手術などで入院し、治療に抗生剤が必要だったりすることが多かったりで、自然に除菌された方が非常に多い、と胃カメラをしていると思います。

胃カメラの説明時に、腸上皮化生、という言葉がひとつのキーワードですが、もはや胃の複雑な粘膜をつくれずに、腸の粘膜になってしまった中心に、癌ができやすい、とされています。 きっとそういった胃の粘膜をもっているかたは、1年毎の胃カメラ(少なくとも2年ですが、1年が確率的に癌が見つかった時に、お腹をあける手術をしなくていい可能性が高いのです)が望ましいとされています。

以前にも書きましたが、胃カメラという名前がいけません。 食道も十二指腸の一部も、私は声帯も喉頭もみています。 鼻からして、鼻腔内に悪性腫瘍が見つかった人もいました。 これは、通常右の鼻からするのですが、右の鼻にできていたので、ラッキーとしか言いようがありません。 かなり確率としては低い病気なのですが、早期であり患者さんはご存命です。