心臓・血管の疾患

頸部に聴診器を当てる医者は名医?普通?

先日、右の頸動脈に雑音が聴かれた方がおり、超音波検査をすると、50%狭窄(血液が通る部分が半分になっている状態で、手術の適応はない)が判明しました。 脳梗塞などの予防に、EPA/DHA製剤や抗血小板(血液をサラサラにする薬)が良いこともあります。
さて、私は師匠から必ず頸動脈の聴診だけでなく、視診、また頸「静」脈の視診までをみる訓練をすることを義務づけられ、その見方のコツを、循環器専門医が勉強する雑誌「Heart View」や「循環器」、「月刊心エコー」に寄稿しています。
私にとっては、頸部の聴診は当たり前になっていることや、短い診察時間で頸部の聴診をしないことは、患者さんにとって勿体ないとすら思います。 問題がなければそれで良いし、その後の経過で雑音が聴かれることがあれば、異常事態ですので検査が必要です。 胸の聴診で心臓と肺の音だけを聴くのは当たり前(それもしない方もいますが)で、さらに聴き方も上手な人と下手糞な方がいるのも事実です。 当たり前ですがトレーニングをしなければ上手く聴く事はできません。 私は日本でもトップレベルの聴診技術と心エコーの技術をもった、福田信夫先生とマンツーマンでトレーニングを5年間させていただきました。
ときどき、「首に聴診器を当てる先生は名医って週刊誌にかいてたよ」と言われる患者さんがいますが、私にとっては「普通」であり、なぜ頸動脈の音を聴かないか、が疑問に思う程です。 そこから得られる情報は計り知れないからです。
同じ血圧の薬をもらうにしても、聴診の技術がイマイチだと、支払うお金は同じと考えると、自分なら上手な人に聴いて欲しい、と思い、修行を積んだ次第です。
ちなみに、現在ではトレーニングするとこもできない、心尖拍動図を記録していました。 このことで心臓の硬さが分かります。 触診や聴診で代用できますが、新鮮拍動図で答え合わせが出来ない最近の医師には難しいことかもしれません。
どんな職業でもそうですが、教える側、教わる側の相性以上に、情熱があるかないかが重要と思います。
聴診のことについては、私が34歳と36歳のときに出版した「恋する心エコー」のコラムに詳しく書いています。