心房細動とは数ある不整脈の一つであり、心臓のなかに血の塊が出来て、脳梗塞を起こしてしまう恐ろしい不整脈です(長嶋茂雄 巨人名誉監督 がなった病気と言えば分かりやすいかもしれません)。症状がある人もいれば、偶然みつかる場合もあります。
私事ですが、今月、四国リバーロキサバン登録試験(Shikoku Rivaroxaban Registry Trial : SRRT)の解析結果や、今後の薬剤投与についての会議に高知からは四人のうちの一人として出席致します。心房細動に対して内服していただく薬剤について、十分な効果かつ安全に投与をするためのことを話し合う会議です。
心房細動には「胸がドキドキする」という「動悸」を主訴に来院される患者様のなかに多く見られます。他の不整脈が原因のことも多いのですが、不整脈といっても種類が多く、患者様に不整脈のリズムの図を見せて、「どのタイプの不整脈に似ていますか?」と聞くことがあります。 第二候補くらいまで上げてもらう事もあります。
心房細動の際にお出しする薬の基本は「血をサラサラ」にする薬です。血をサラサラにする薬には2種類あり、動脈をサラサラにする薬と、心臓内と静脈をサラサラにする薬があり、心房細動では後者を使用します。 その使用する薬のなかでも2種類あり、1900年代前半に、殺鼠剤として使用されていた、歴史あるワーファリンと言う薬と、近年発売されたワーファリン以外の薬に分かれます。
近年、心房細動は循環器専門医だけが診る病気ではなく、患者さんが多くなることからも、非専門医も診察する病気、という流れが多くなってきています。しかし私はこれには少し違和感があり、脳梗塞などの重症に発展する可能性もあるため、一度は心臓専門医を受診するべきだと思っています。
理由は、使用する薬が「心臓超音波」というエコーの検査で変わってくるからです。例えば「僧帽弁狭窄症(左心房から左心室へ血液が流れにくくなる病気)」という疾患があると、使う薬は、「ワーファリン」のみとなっております(2016年現在)。またエコー検査で、心房細動の原因や心臓の機能、心房細動自体を直してしまう「カテーテル・アブレーション」が適応なのかどうかが分かることがあります。僧帽弁狭窄症があるのにワーファリン以外の薬がでてしまうことの懸念や、カテーテル・アブレーションの情報が入らないことは、患者様の不利益になることがあるからです。
動悸を感じる患者様は一度、全く問題がない「心臓神経症」なのか、放置が可能な不整脈なのか、心房細動のように命に関わる不整脈なのかを診断するために、心臓専門医のいる病院・クリニックを受診してみてください。
図の解説
①正常の脈。トン、トン、トンと正常にリズムの乱れがない。
②洞性頻脈のタイプです。面接型と私は名付けています。緊張したりすると脈が速くなり、自然と知らないうちに収まる問題のない不整脈です。
③発作性頻拍が疑われるタイプです。突然始まり、「何時何分」に突然治まった、という症状が決めてです。
④期外収縮のタイプです。期外というのは、納「期」以外に、心臓の電気の「収縮」があり、心電図では心臓の電気の収縮が診れるのですが、脈拍では「脈の空打ち」と感じます。
⑤心房細動のタイプです。発作が診察時に起こってない場合は、24時間心電図などで診断します。