心臓・血管の疾患

私の心電図勉強法

心電図といえば手足と胸に電極をつけて、12本の波形をだす、というものです。紙にだすのではなく、近年はそのまま電子カルテに乗るようになっています。

勉強方としては、医大生の頃、4年生から実臨床に即した座学として循環器の医師から心電図を学ぶことがあり、教科書で細かい数字などを試験もあるので覚える必要があります。 一旦忘れても5年生の時に大学病院の実習などで循環器内科を回った時にもその時の学生担当の医師が教えてくれます。 母校の獨協医大ではこの医師の教え方が面白く(医師になって知ったことですが、とある本からその医師も学んでいたようです)、その後6年生になれば医師国家試験の対策で少し珍しいタイプの心電図もみるようになります。

さて医師になった後、私が研修をした京都日赤では循環器を回る時に、朝8時までに健診の心電図が医局に20枚ほど届きます。部長の先生が昼までに「心電図診断」をそのまま書くので、研修医は8時に医局で自分の心電図診断をメモしておき、直される、という勉強法ができました。 この時には教科書は1冊だけもっていたと思います。 心電図の教科書は数冊持っていますが、これがいい、という決め手がそれぞれにあり、これ1冊で、というのはありません。 医学書店に行き、自分にあったものを買うといいでしょう。 最初は1冊を読み込むことが大事だと思います。

さて研修中に実家に帰った私には心電図についての研究で医学博士になった父親から直接指導を受けることが出来ました。 父親世代(段階の世代)の循環器医師にとっては心電図はかなり詳しく読むことが求められる、学問として成立していたそうです。 徳島大学の第二内科の当時の教授の森先生はブルガダ症候群が論文になる前に日本語で「ぽっくり病」として「こういう心電図は要注意」と言っています。そのためブルガダ先生の論文には日本語ですが森先生の論文が引用されています。英語で論文を書いていたら「ぽっくり病」や「森症候群」となっていたかもしれません。 ちなみに父親世代が森先生らからの直接のレクチャーでベクトル心電図という特殊な心電図の解析法を学んでいるため、一人で通常のパターン診断、とベクトル心電図解析ができるので、何か心臓に問題があるときに見落としにくい、ということを教えてもらいました(森教授から私にもベクトル心電図の教科書をいただきましたが、かなり難しい内容で、理解するに至りませんでした)。

その後徳島大学の第二内科に入局したのですが、火曜日と金曜日が、循環器内科以外の科からの心電図診断を次の日までに記載する、という役目が私にも与えられ当初2-3ヶ月は上級医が一緒に遅くまで残って教えてくれました。一人でするようになってからは少しユニークな勉強法を思いつきました。これをやっている人を今までに見たこと、聞いたことがないので本邦初公開かもしれません。 心電図読影室には電子カルテもあるため、心電図診断をした後に、どういう病気をもっているのか、また性別はどうなのか、痩せ型か肥満体型なのか、などを心電図1枚から「想像」し、電子カルテをみて答え合わせを自分でする、という勉強法です(している人いたらすみません) この勉強法はかなり有用でした。 何せ自分で心電図診断が間違っているか答え合わせができるので。

香川の国立善通寺病院(現:四国こどもとおとなの医療センター)に派遣されたあとは、仕事をしながら「コツ」を教えてもらうような勉強法でした。 大学時代の週一回の循環器カンファレンスが非常に役にたつとともに、コツ、を教えてもらうことで非常に勉強になりました。

今は心電図の勉強は何か問題がある心電図があるときに詳しく調べる、ということになります。 最終拠点病院ではない、開業医だから、というのはあります。 しかし24時間心電図などに関しては論文を読み、詳しく診断ができるように研鑽しています。

今では多くの医師が必修となり、パターン化された心電図を見落とさないか、が重要な心電図の読み方になり、多くの医師の中には循環器内科医師以外でも求められる能力になりました。

当院看護師から、勉強会のテーマについての要望を聞くと 心電図 が多く、その資料を作っています。 すると新たな自分の学びにもなります。 心電図をとる看護師がその場で異常に早く気づければ、医師に相談を早くできるので良いことだと思っています。