心臓・血管の疾患

今年の夏の高血圧について  とくに高齢者について

例年夏、6月の中旬頃からは血圧が下がってくる方が多いのですが、コロナで自粛していたためか、暑さに不快を感じた体の反応やその他急に暑くなったことなども関係し、例年より血圧が下がる時期が遅い人が多い、と感じています。

体が自粛で自宅内にいることが多かったこともかなり関係していると思います。

ただ、もちろん血圧が下がる人もおられます。 血圧は自宅で測ったものが、医療機関で測定したものより優先されます。

エビデンス(医療・治療の根拠)はまだまだ少ないのですが、65から75歳以上の方では、起きたての血圧が高くなる、血圧の変動が強い、急に立ち上がった時に血圧が下がりやすい、食後に血圧が下がりやすい、夜間の血圧が高いまま、などが報告、注意喚起されています。 血圧を下げすぎることも、よくないのですが、積極的に血圧を下げた(120以下)方がいい、という報告もあり一定しません。 他の疾患なども考えて血圧については処方を調節する必要があるわけです。 さすがにどの年代でも、他の病気がなく、血圧だけで降圧薬を飲んで110以下(早朝)は低すぎます。 私としては、自宅で起きたてで深呼吸をして135以下が望ましいと思っています。 これは一般的であり、その人その人で目標を決めるべきです。 自宅で140以上は少々高いと思います。 150以下ならいい、という方もおられるかもしれませんが。それはあくまで「参考程度」の医療機関で測定した値です。 他の疾患や飲んでいる薬のことも考えて疑問があればなんでも聞いてください。 たとえば、心房細動で血をサラサラにする薬を飲んでいる人は130以下にすることで脳出血のリスクを圧倒的に低くすることができたり、糖尿病の方は積極的に125以下にすることも推奨されているのです。

しかし、その人の症状(ふらつき)などもあり、それを考慮して血圧の目標は決定されるべきだと思っています。

※弁膜症があったり、肥大型心筋症の方は、心エコー検査を専門とする当院などの医療機関できっちりと診断し、高血圧に弱い心臓で弁膜症の進行や心不全のリスク増大がある、という自覚をもってもらうことも重要ですが、心エコー検査ができない医療機関ではそういった心臓の「中」がわからず血圧の薬を処方するのは、情報が少なく、不利、だと言えます。