今では、心臓の動きによって、心不全を起こした時などに、ガイドラインで様々な呼び方がありますが、この、mildly DCMというものはガイドラインには乗っていませんが、論文は多数あり、その原因も様々とされています。 mildというのは、軽症、軽度という意味です。 DCMとは拡張型心筋症の略語です。
DCMだけだと、相当心臓は大きくて全く動かない心臓のことを、想像する医師が多いと思いますが、きちんと論文を読んでいれば、少し心臓が大きくて、少し動きが悪い、という症例に数多く出会うことがあります。 そういった心臓に対して、闇雲にカテーテル検査、危険を伴う心筋生検、高額な採血検査をすることが、いつも正しいわけではありません。 もちろん、可能性があれば確実な原因を突き止めるために検査をしてもいいと思いますが、危険因子が全くなく、「経験」上、心筋生検をすると、「ウイルス性心筋炎のあとなのだろう」ということがわかるようになります。 もちろんそれ以外の自然と原因なく、拡張型心筋症が軽症ですんだ、という場合もあります。 要は経過をみることが大事ですが、何もせず様子をみる、は最悪の一手です。 それならきちんと検査を強く進めるべきでしょう。 私の場合は、冠動脈に異常はなさそうで、心臓サルコイドーシス、高血圧性心臓病の成れの果て、心ファブリー病などの代謝疾患などが否定的であれば、心保護作用のある薬剤を飲んでもらって、経過をみます。 (その経過をみるときに私は、心エコー図検査の料金をとらない場合もあります)
紹介先の大病院で「無投薬で経過をみます」とされた少年が、経過もみられず、当院に来院される場合もあり、紹介先の病院が悪いのではなく、紹介先の医師によってその人の一生が変わる、という自覚がない医師なのだな、と思うことがあります。 これは自分がされたら嫌だな、と医学の知識をもって思うことです。 なので、その医師がある分野で有名でも紹介は絶対にしません。 同じ大病院でも違う医師に紹介することいしています。 自分が紹介されるなら、という考えをもたないと、医師という職業という以前に、人間的に間違っている、と私は思うからです。