その他の疾患

抗生物質について

今後はさらに日本でも使わない方向になるでしょう。 その理由としては、日本ではウイルス性の感冒に細菌を殺す抗生物質はデメリットが大きいからです。 さらに、耐性化の問題です。 以前私は、一宮地区に住んでいる65歳以上の方の肺炎球菌に対する耐性ができている薬を解析しました。 クラリス、ジスロマック、クラビットです。 裏事情として、今までは製薬会社も抗生物質をたくさん作って来ましたが、血圧の薬のように1ヶ月分が使われることはないので、あまり作りたくないということもあり、現状の薬で、今も未来もやっていかなくてはいかないというのもあります。

さて、クラビットはキノロン系の薬とされています。 この薬は将来的な血管の障害を起こす可能性が示唆されています。 そのため今後はマクロライド系の薬が増えるのではないか、と思います。 クラリスとジスロマックです。 しかし、一宮に住む65歳以上の8割以上は耐性を持ってしまっています。 すでに今まで安易に使われてしまった「ツケ」がここにきて出てきてしまっているのです。 ちなみに、マクロライド系の薬も不整脈死という有名になった報告があり、一時期医師みんなが使用を控えた時期もありましたが、今はそんなことにはなっていないのも不思議の一つです。

今までの文章で、私は抗生剤がウイルス性の感冒に意味がない、とは一言も書いていません。 実は人によっては約1/5000-1/50の確率で肺炎への移行を予防するので、意味がないわけではないのです。 専門家も意味がないとは言い切れないはずです。 ただ、1/5000だとその確率が少ないので、意味がない、という発言をする方もいるかもしれません。

要はメリット・デメリットを考え、抗生剤を投薬するかどうか、内服するかどうかを決めなくてはいけません。 抗生剤絶対に使わないといけない場合もあります。 そういったときに、メリットが大きく、デメリットが小さい薬を選択し、患者さん側としては、忘れずに飲むことでキチンと細菌をやっつけないと耐性ができやすくなってしまいます。

あと最も大事なのは、経過をみることです。 どんなに優秀な専門医でも、その日の発熱(インフルエンザが流行っている今のような時期は別として)で、ウイルス性か細菌性かを見分けるのはかなり難しいはずですし、分かる、という人はおそらくいないでしょう。 そのため私は、抗生剤を出さない処方、また抗生剤をだした場合でも必ず、3日目(4日目という専門医もいる)に、状態が悪くなっていれば再診してもらうように必ず声かけをしています。 このことが一番重要なのではないかと思います。