さて先日、NHKの人気情報番組にて、治療方が確立されていない内容を放送したことが、社会的問題になっています。
睡眠導入剤「ベルソムラ」(俗称「デルタパワー」という薬が、糖尿病の治療に有用である、という内容です。
この番組はためになる情報が多く、私個人的にも視聴しておりますが、今回の放送は視聴者や糖尿病で苦しんでいる人に、かなり誤解を与えたとされています。
私見ですが、医療には、「理屈」→「エビデンス」(理屈が検証され、証拠が集まった医療)→「(医師の)経験」だと思っています。
他の医療系番組でも、同様なことが放送されています。一部の人に「有用であった」ということを、誰にでも当てはまるというような報道が問題だと思います。
この番組は信頼性がある(あった)番組なので、非常に残念に思います。
さて、我々医者は、急性期の救急医療では「EBM」といった、証拠に基づいた医療(先ほどのエビデンスが重要とされる医療です)が重要とされています。
また、近年では、慢性期の治療では、「NBM」を重要視した、個人個人にあった医療の比率が高くなってきます。
私自身もEBMを重要視しながら、患者さん個人個人にあったNBMも取り入れた医療をしていきたいと思っています。例えば自宅での暮らしや、ご家族の介護負担、診療が循環器だけに偏ってないか、などです。
ほんの一昔前までは、医師の経験による治療のみがなされていましたが、EBMという考えが一般的になり、近年NBMも重要、という流れになっています。
いち町医者として、気軽に相談できる雰囲気をスタッフ一同作っていきたいと努力してまいります。
※EBM : evidence based medicine
※NBM: Narrative based medicine