心臓・血管の疾患

floppy valve(フロッピー・バルブ)症候群、Da Costa(ダ・コスタ)症候群心臓神経症

Floppyとは、締まりの悪い、だらりとした、という意味であり、心臓弁膜症において使われる病態のことです。 剖検(ご遺体を解剖すること)での論文では、生前、僧帽弁逸脱症と診断されていた患者さんの60-80%が三尖弁にも何らかの接合の異常があり、逆もまたしかり、という報告があります。 心エコー検査で、三尖弁で明らかに逆流ジェットがまっすぐではなく偏移していれば、僧帽弁にも何らかの異常があるかもしれない、と思って検査をしなければならない、ということです。 大きな病院ではトレーニングが不十分な医師、検査技師さんがしても、技量が十分な人が検査しても、最終的にその動画などをみずに所見用紙をみて「正常」と書かれて入れば、外来担当医がいくら優れていても「正常ですね」としか言えないのが弱点です。 拡大してみてみると、明らかに僧帽弁に接合不全(うまく弁がしまらない)があるけども、逆流(明らかに偏移)の量がたいしたことないので、「正常」と書かれた人がいました。 これも困ったもので、「閉鎖不全症(逸脱、接合不全などを含む)」と、「逆流症」をごっちゃにしているから、異常を正常としてしまう致命的なミスです。 死に直結しないからいいものの、その方は10年後に弁膜症がひどくなって心不全を起こすかもしれません。
また、心臓神経症は、精神科的には「パニック障害の一種」とされることもありますが、医師が「問題ないね」という一言で治る場合もあれば、疑い深く慎重な患者さんほど、治りにくい場合もあります。 しかし、これは、本当に異常がないことを証明しないといけません。 私の発表(報告)では、心電図とレントゲンだけに加え、心臓超音波検査だけでは、「異常なし」といっても、6割5分の人しか治りません。 心臓超音波検査に加え2つの検査をした場合(すべて正常)に、3ヶ月以内に胸痛などの症状が9割5分以上で治ります。 残りの人は半年かかりますが治ります。 さて、心電図異常があり、BNPという心臓の負担度を表す値が高い人で、心エコー検査をしても「正常」とは言えません。 他の何らかの検査をして本当に「正常」か、「経過観察」ということを、患者さんの性格まで考えて述べないと、治るものも治りません。 私自身は、患者さんが「大きな病院で正常と言われたから、いくら安静時に胸痛があっても、検査はしたくない」と言う患者様もいます。 大きな病院の一回の診察、検査がすべてではないことは既に述べた通りで、私自身が大病院で循環器内科の責任者として紹介を受ける場合でも、なるほど、と思う紹介が開業医の先生からありました(その逆もあったので今現在も勉強を怠らないように気をつけています) 私自身の考えとしては、症状があるうちは、必ず経過観察をしていった方が患者さんのためだと思っています。 そのため医長をしていたときは、紹介をいただいた時に、「高いBNPに関して経過を見ていってください」「内服薬でも症状が強く出れば再度紹介してください」としていました。 これは私自身が辞めていった上司から教えてもらったことであり、大きな病院ではそういった姿勢が必要なのではないでしょうか? 「問題ないから、もう診ません」という変わった医師がいるのもまた事実なのです。