昔はレントゲンは1枚のフィルムでやってくるので、それを真正面からと、私はCT検査で勉強をしてレントゲン検査で答え合わせをするという、放射線科医が学ぶスタイルで研鑽していたので、少し角度をずらして、CT検査ではどうなのか、また濃いところがより濃くなるようにみる2パターンで見ていました。
検診医の見方は、「乙」のように、胸部レントゲンをみるそうです。 極めるとそれで見落としもない、とのことでびっくりしました。 最近は、「小学校、三年生、J組」といって、気管支と上の肺を「小」の字を書くようにみて、「三」で右と左の肺を見比べ、「J」で上行大動脈・肺門部から、心臓の裏の肺や横隔膜の後ろにある肺もみる、と見逃しがない、という方法が有名です。
ただこれだけでは足りません。 骨の中に癌がないか、関節と関節の間の隙間が減り、靭帯が損傷してないか、リンパ節が目立たないか、動脈硬化がないかどうか、も見る必要があります。
しかし一番大事なのは、肺がん、を見落とさないことです。 米国での肺がん検診は放射線被曝量をかなり減らして、胸部CTをとる方法になっています。 レントゲンでおかしい、悪いものも考えられる、と言われた場合はCT検査を勧めています。 もしくは1ヶ月後にレントゲンをとり、大きくなっているか、小さくなっているかで判断する方法もあります。 小さくなっていれば、その肺の中にある塊(結節といいます)は、器質化肺炎と思われます。 古い炎症、ということで悪いものではない、という判断です(実はこれもCTで判断したほうが良い場合があります)
ここで、一つ問題があります。 検査がしない医師には3パターンあります。 一つは習うことができなかった・勉強をおこたった場合、二つ目は見逃しが怖くて検査自体をしない場合、最後はポリシーで検査をしない、ということになります。 ここに患者さんの意志が入ってきて、検査をするかどうかを話し合うわけですが、見逃しが怖くて検査をしない医師にかかる意義はあるのでしょうか? という疑問が、私が患者ならでてきます。 また、明らかに勉強を怠って、頭でっかちで、webの情報だけはいち早く知っているが、手技・検査に疎い医師、またポリシーで最初から検査をしない、という医師にもかかる意味も、私にはない、ような気がしています。 医者も完璧ではありませんが、自分のできる範囲があまりにも狭すぎると、患者さんの不利益になってしまうと、医師側から患者になった場合を想定すると思います。