その他の疾患

睡眠時無呼吸症候群と最新の治療機器

一人暮らしの方はイビキや、睡眠中に息が止まっている状態を、他人が気づくことがありません。 だいたいの睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方は、家族の方が心配して来院されます。 当院では、簡易型のSAS検査ができ、1日だけでなく、「サービス」で2日分の睡眠中のデータを記録して解析致します。

さて、一人暮らしの方が、とある大病院の院長先生に「最近だるくて、夢を急に見出した」と言ったところ、「脳が若くなってきた証拠じゃないか。良くなっとる」と言われたそうですが、『病院にかかるときは、体の不調があって、皆さん行くわけです』よね? その患者さんが、自分では良くなってないのに、、、と疑問に思い当院に来られました。
確かに、痩せていて、SASを疑うような体型(太っている、顎が小さい)ではありませんし、誰も寝ている時の状態が分からない訳です。 しかし最近の研究結果では、所謂はっきりとした夢を見るとされるレム睡眠(眼球がキョロキョロ動くことから、rapid eye movementからREMと論文で名付けられました)の時間はお年をとってもその時間は変わらない、とされており、逆に脳も体も休めるnon-REM睡眠のとくに深い睡眠時間は年齢とともに低下していることが分かっています。

私は、イビキを書いているか、一定の時間呼吸が止まっているか、は判断出来ませんでしたが、肥満などが原因の閉塞性無呼吸症候群ではなく、心不全などが原因の、中枢性無呼吸症候群、あるいは両者の合併したSASだと思い、検査を勧めました。 なぜなら患者さんは困っているから受診されているのです、さらに上記の理由で、この方の睡眠は「浅い」ので、だるさ、に繋がっていると思ったからです。

結果は、、、超重症の無呼吸症候群でした。 呼吸は1時間あたり、10秒以上の無呼吸が43回あり、すぐに「持続陽圧呼吸療法(CPAP)」の適応となりました(簡易型の検査では、中等度から重症とでても、すぐに治療の適応にならない場合があり、その場合は一拍入院にて治療の適応をみることになります)
①昔のCPAPは一定の圧を寝ている時に鼻にかけるだけでしたが、息苦しい、ということで、進歩して、②息を吐く時に少し圧を下げることで楽になる、という機能が加わっています。 さらに、③最新のCPAPでは、睡眠中の呼吸のパターンを解析し、吸気時と呼気時に分けて、圧を調節(もちろん圧が変わる時は息を吐く少し前から圧を下げる、ということまでしてくれます)する、いわば2相性(吸気時と呼気時)の機器が出てきています。 一番効果があるのは、②のCPAPで吸気時と呼気時に十分な圧をかけることが出来ることが理由ですが、これに耐えられない方は③の機器に変更することで、CPAP治療を続けられることが出来ると思われます。

日中のだるさ、睡眠が浅い、と思われている方は是非来院されてください。 検査は非常に簡単で、詳しくご自宅の玄関先で説明させて頂いたり、家に来てもらうのが嫌な方は、ゆうパックで説明書付きで検査機器を送ることもできます。