その他の疾患

不老不死が今現在、難しいので、精神的、肉体的な健康寿命を延ばす、という考え

色んな映画でも、最終的な「悪もの」の最終目標は「不老不死」でしょう。 でも、映画は人間が作るもの。 いつ死んでもいい、と思う方もおられるのかもしれませんが、健康で不老不死、も悪くはないのではないでしょうか?
例えば数年前、脳内のアミロイド蛋白を除去する注射薬が臨床で実用化されるかも、という論文に胸躍ったのですが、実現はできていません。 つまりアルツハイマー病などの認知症は、今の所「完全に治す」ことは出来ないが、「今後に期待」できる、と思っています。 そのためには、今現在の認知力を保たなければ、精神的な健康がどんどんと損なわれてしまいます。 認知症は、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症における行動と心理症状、かつての周辺症状)という、介護する人がこまる症状、具体的には、暴言・暴行、夜間せん妄、昼夜逆転、興奮、幻覚、抑うつなどのことです。 つまり、人間関係、周囲の環境、で出てくる症状と言えるでしょう。
それに対し中核症状とは、一言で言えば、記憶障害、です。 私自身の治療方法としては、実は1番にBPSDを、2番に中核症状を中心に治療を考えています(2018年3月現在) すでにBPSDがある方には、原因となる薬を「減らす」こと、漢方薬や、糖尿病の有無によって内服薬を追加すること、一時的に興奮を抑えること、抑うつに対しても漢方薬やある種の認知症の薬が少ないので増量すること、で対処します。 あとは介護者が大変になり、認知症患者様の治療にとって悪循環となるので1番に、と考えているのですが、例えばデイサービスを変更する、「お試し」といって、ショートステイを使用してみる、など環境面で介護者を守ることが大事ではないでしょうか? 中核症状を治す薬は3種類ありますが、私自身は2種類を使い分けています。 「アリセプト」という飲み薬が基本です。 この薬を上手く使えないと、抑うつ状態のときに対処できません、ピック病にも現在日本では、保険適応が通っているという点、一日1回の内服ですむのが良い所です。 BPSDがでそうな人には、イクセロンパッチという張る薬を私はかなり長い期間で増量をするようにしています。 理由は、通常容量の18mgになる前の9mgから、13.5mgに増量したときに、元気がない、などの症状が出る方がおられることが経験的に分かっているからです(その場合9mgで維持します) そうでない方には、最近は9mgからの開始も認められていますので早めの効果を期待して処方することがあります。 「レミニール」は施設に入っている方などではいい薬だと思いますが、なにせ一日2回の内服であり、自宅で過ごす人には不向きだと感じています。
さて、なぜ認知症の薬を内服した方がいいのか、それは、現在の薬は、野球で言うと、「中継ぎピッチャー」の薬だと、私は思うからです。 いずれ「治してしまう」薬が出るまでの間、できるだけ、中核症状を進ませたくない、ということ、また逆に認知力が良くなりますので、それも期待して処方します。 認知症の方は、時間、場所、人の順番に忘れて行きます、最後には体を動かすことをわすれてしまし、寝たきりになってしまいます。 それを防ぐ為に、中核症状の薬も必要となってきます。 昨今、BPSDが一人歩きし、認知症の薬が良くない、とされていますが、そんなことはありません。 実際に、認知症の試験だけでなく、家族の方からの「出来ないことができるようになった」や、心臓リハビリテーションをしていて、口数が増え、予約の時間を忘れることがなくなった、ということで実感をしています。