私は常々、医者には「センス」と「エッセンス」が大事だと思っています。 外科で「何例経験しましたか?」は、実際はそれほど意味がなく、年間100症例でも50症例でも、「考えながら」「進歩しながら」すると、50症例の医師の方が信頼がおけます。 心臓のカテーテル治療においても、だらだらと100症例ステント治療をしても意味がありません。 75症例くらいでも、「センスを磨きながら」、「コツをつかめば」、300症例したものと同じだと思っています。 さらに重症例を経験したかどうかも大事です。 私は、PCPSを入れ(最近は組み立てれない医師も多いのではないでしょうか?)、とりあえず、心臓がとまりそうでも脳や体の組織に血流がまかなえる状態にできる自信があったので、その後、カテーテル治療をする例もたくさんありました。 また、香川にいましたが、本州のいろんなカテーテル治療のライブを見に行き、「ステント」と呼ばれる血管を拡げる補強材についても、実際は少し、各社によって違いがあるので、それを理解した上で、きちんとステント自体が「ある」ことも確認して治療していました(欠陥品がごく稀ですがありました)
飛び抜けた知識をもつ「心エコー」の知識を持つ医師は各県で数名いると思います(開業医なので、誤解されることもあると思うのですが、私も四国こどもとおとなの医療センターでは、私のエコー(胃カメラのようなエコーもしていました、心臓手術中もしていました)で手術適応が決定され、若い方の心エコーで異常があった場合の治療方針を決定していました。 現在は、大きな病院では、他の医師と相談できないこともあり、紹介することもあるのですが、紹介先で心エコー検査で「異常無し」とされ、それはおかしい、と思い、心臓CTで他院に紹介したところ、私の見立て通り「拡張型心筋症で、左室緻密化障害です」という症例がありました。
心エコーだけする、という医師は、相当な知識が必要ですし、そういった医師もいます。 私自身の私見ですが、緊急のカテーテル治療をして、エコー検査も自身でする、というのがベストではないか、と思う次第です。
ちなみに、急性心筋梗塞の患者様で、スワンガンツ・カテーテルをして、その直後に集中治療室で心エコーをした論文は、私が調べた範囲では、私の論文だけです。
心エコーは「心臓の中の圧を推定」できますが、絶対値はわかりません。 スワンガンツ・カテーテルは「実際の圧」を測定できるので、心エコーの重みが違う、と思う次第です。
生半可な心エコーだけでは(今まで大きな病院で、教えてきた先生の中には、「エコーだけします、カテはしません」という方がいるのも事実で、それも人それぞれだと思いますが、自分は安全圏にいて、手を汚さない頭でっかちな医師になってほしくないな、と思って指導していました)、患者様には不利益になりますし、その方の将来を見越した治療やフォロー(経過観察)が必要と思います。 そのためには、「病診連携」が大事だと思っています。 私自身が、紹介する場合は以前にも書かせていただいたのですが、他人の目で見てもらい、心エコー以外の検査が必要かもしれない、と思う患者様です。 かかりつけ医としては、患者様の希望にもよりますが、心エコーの経過観察は当院で十分だと思っています。