今年はいろんな事情でワクチンが少なく、かかっているクリニックでうてない、という人がいます。 私はある程度この事情が予想できたので、ワクチンを昨年より多く「一宮きずなクリニック」に納入していました。 多くのクリニックでも予想できていても納入できなかった、というのが実際のところだと思います。 私自身はかなり早い段階で納入の契約をしていたので、他院でうてなかった方が当院ならうてる、という情報をえた方が多く来院され、また当院にかかっている患者様の分も確保することができています。 ただ、先週土曜日からはさすがに納入の時期も不明になってきて、完全予約制とさせていただきました。 ただ以前から予約していた人の分は確保しています。 また当院で乳幼児の2回目の接種もできるように計算はしていますが、状況も変わる可能性があります。
さて、「インフルエンザのワクチンをうっても感染するんだろ、だからうたない」という患者様がいます。 これは間違っていないと現時点(10年前から私の意見は変わっていません)でも言えると思います。 なぜなら、ワクチンで出来る抗体は「IgG」という血液中で威力を発揮する抗体です。 感染するのは、口の中や鼻の粘膜からです。 その部分の免疫を担当しているのは、「IgA」という抗体なのですが、ワクチンではIgAは産生されません。 なので感染率は同じなのです。 ドクターによっては「かかりにくくなる可能性はあるよ」という意見もあると思います。 間違ってはいないかもしれませんが、詳しく論文を読むと、統計学的に少なかった可能性があり信憑性には疑問、と書かれています。 つまり、インフルエンザに感染しても、ワクチンをうっているので普通の風邪と思ったり、病院にいっても、迅速キットも100%の検査ではないので、「陰性」となってしまうケースがあるからです。
理屈的には、「感染」の確率は同じなのです。
ではなぜワクチンを受けた方がいいのか? それは、感染し、血液中にウイルスが入った時に、重症化しにくいからです。 重症肺炎、脳炎などになりにくいからです。
インフルエンザワクチンを受けない、という主義の方もいると思います。 リスクを考えて、それはそれでいいと思います。
ただ、インフルエンザにかかった場合は、ご高齢の方などはすぐに医療機関に受診されることをお勧めします。 昨年、高知新聞のコラムに載せましたが、私は喉の奥をみることで、インフルエンザの可能性が高いかどうか、が判断できます。 これは自分で気づいたことですが、北海道の開業医の先生が論文にしていましたので、先をこされた笑、という感じです。 一般の内科医ではその所見はわからない方が多いと思います。 感染症専門医なら知っていることでしょう。
余談ですが、最近私は、風邪が今猛威を振るっているのか、治りかけなのか、が分かるようなサインが診断できることに気づきました。 このことはまだ誰も論文にしていません。 私は胃カメラをしているので、この所見の理屈に気づきました。 実は「インフルエンザは喉をみてもわからない」と、なんと内科学の教科書に「間違って?」書かれています。 インフルエンザの所見とあわせて、風邪の所見も、きっちりと見ていき、自身のスキルを高めていくことが重要だと思っています。