まず腎臓ですが、水を処理しきれない心不全の治療薬、利尿剤、を使うことによって、腎臓にただでさえ心臓がわるく血液が届いてないのに、ますます届かなくなり、腎臓の機能が悪くなります。 なので、普段から腎機能を意識した心臓の治療をする必要があります。 具体的には血圧が高い場合、心臓の負担をとるときに単に血圧を下げるだけではなく、臓器保護効果のある薬剤を選択するのですが、個人個人にあった量でないといけません。
また肺が肺気腫などで悪いと、非常に心不全時の治療がやっかいなものとなり、患者さんがなかなか集中治療室からでてこれません。 理由に息苦しいと過呼吸気味になり、二酸化炭素が排出され(呼吸性アルカローシス)、体がアルカローシス(リトマス試験紙でいうと、血液がアルカリ性になっている状態)になりやすい。 そこに、ラシックスを使用すると、代謝性あるカローシスが加わり、呼吸をしない状態になってしまいます(他にも理由はありますが) そこで私はダイアモックスという薬の静脈投与をしていました。 強制的に体を代謝性アシドーシスにする利尿剤です。 私が善通寺病院(四国こどもとおとなの医療センター)にいるときは、使っている医師をみたことがありません。 思いつきでもありません。 きちんと論文を読んで、最初は呼吸器の先生の立会いのもと「循環器でこれ使うのは珍しいな」と言われながら投薬していました。 そうすると自発呼吸がでてきて、口から入れていた管が抜けます。 よりリハビリに早くとりくめるため、非常に有用でした。 これは知っているか知らないか、も重要ですが、経験も大事です。 いきなり投与をしないこと、絶対に経験者と最初は一緒に投与すること、また最重症患者さんの経験が重要です。
なので、普段の治療でも、肺気腫の人がいたら、肺機能を高めておくような治療がその人の寿命を伸ばすだろうな、とおもっていましたが、つい最近、途中経過ですが吸入による肺の治療で心臓病による死亡が減る、という報告がでています。
開業医としては、何事も開業前の大病院で経験しておく必要があるな、と感じると同時に、そういった経験があるので、納得のいく報告でした。 経験するにも、自分で自己流ではいけません。 必ず自分より優れた医師、師匠と呼べる医師から学ぶべきです。 それが後輩でも、です。 どんな医師でも必ず一つのことに精通しているものです、そこから学ぶべきことは必ずあります(なかには、真似をしないほうがいいな、という医師も多数みてきましたが)