私自身は、漢方薬に関しては発表歴もありますが、そればかりをしているわけではなく、あくまで西洋医学(漢方が東洋医学としたら)が中心で治療をしています。
しかし、特定の疾患の場合、漢方薬が非常に効果があったり、安全だったりすることがあり、重宝する場合があります。
五苓散:万能薬です。科学的にも作用が確認されています。下痢でも浮腫でも、めまいでも効果があります。
桂枝人参湯:胃腸炎に効果があります。 当院では点滴中に2包飲んでもらうことがあります。
柴苓湯:これも胃腸炎に効果があります。
半夏厚朴湯:循環器内科が、「心臓神経症」に使うことがある薬です。 喉のあたりからお腹の上あたりの症状に効果があります。 私の統計では、65%の方が(期間も様々ですが)これで治ります。 3個以上の詳しい検査をしていると、9割以上の効果が認められることを発表しました。
芍薬甘草湯:筋肉を和らげる効果があります。 足がつる、などには相当効きます。 外科の先生から、救急外来で、虫垂炎(いわゆる盲腸)が疑われるけども、お腹がいたいためお腹が触れにくい場合、この薬を飲んでもらうと、お腹が柔らかくなり、虫垂を触れ、その部分が痛いから間違いない、とCTを取る前に診断する人もいるくらい、効果があります。
葛根湯:風邪のひき始め(だけ)に効果があります。 肩こりや乳腺炎にも効果があります。 つまり授乳中でも問題ない薬、ということになります。
麦門湯:痰が切れやすくなり、咳を止める効果がありますが、私自身は単体ではあまり使いません。 これで治った、という人をみたことがないからです(使わないからかもしれませんが)
当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸:更年期障害に使う漢方薬です。 その方のタイプに合わせて処方します。 更年期障害は、E2(エストロゲン)とFSH(エストロゲンをださせる脳からのホルモン)を測定すれば、支給の手術をしたかたでも診断はつきます。
抑肝散:認知症の方の怒りっぽさ、に使います。 かなり効果は期待できます。 現代社会において、この薬がないと治療に難渋すると言っても過言ではありません。
他にも私が使う漢方薬はありますが、代表的なものの紹介とさせてもらいます。
効果がない漢方薬は使わない、また理屈がある漢方薬は使う、それ以外は使わない、というのが私の方針です。 漢方薬だけ異常に詳しい医師、とうのはどうか、と思っています。 他のことも詳しいならいいのですが、漢方薬をメインに処方を組み立てられると、非常に飲みにくいので、出される側としての意見ですが。