私自身が教えられたことでもあり、経験したことでもあります。 例えば、開業医の先生に何度行っても、お腹を触ってはくれるけども、腸閉塞の可能性はあるけど、問題ない、という方がおられましたが、私が救急で小型のエコー検査をすると腹水が溜まっており、緊急で胃カメラをすると胃がんがあり、その後のCT検査で少量の悪性腹水があり全身転移していました。 つまり、最初の時点で悪いものを想定していれば、救急でみることもなかったかもしれないし、さらにもっと言えば、定期的に胃カメラ、腹部エコーなどをしていれば早期に発見できたかもしれません。
また、血圧の管理が開業医の先生のもと、うまく行ってない方の腹痛の患者さんも同じように私が小型のエコーで腹部をみると、大動脈が大きく(7cmで、手術適応は4.5cmです)、夜中にCT検査をして、その方の家族と相談して、他県で手術をしてもらいました。 安全に手術はできましたが、次の日の、放射線科の先生からは、「切迫破裂の可能性」がレポートに書かれており(実際は私の読影どおり、手術でも、切迫破裂(その場で手術をした方がいい、という意味です)の状態ではなかったのですが、私自身、最悪のケースを考えていないケースでもありました。
ただ、私も、放射線科の医師も、最悪のケースを考え、それを時には経過をみて、診断することが鉄則です。
最悪のケースがない、と分かっていればいいのですが、少しでも可能性があれば、患者様が不安に思うこともあると思いますので、相談の上、大病院に紹介をさせてもらうことを前提にしています。 そこでは詳しい検査ができるので、全く問題ない、という結果であれば、それはそれでいい、と思っています。 金銭的な問題もあると思います。 なので、経過をみたい、紹介はされたくない、ということであれば、それは患者様の意見を尊重させていただくようにしています。