一宮地域の方に、元、高知大学の脳神経外科初代教授の森先生の講義があり、当院にかかっておられる患者様も多数出席しています。 森先生の推薦もあり、昨年から出席させていただき、講義のあとの、医療相談を担当させてもらっています。
今回は、最初に、森先生と私で、前回のアンケートに対する意見を、と主催する一宮地域の方から言われていますので、言う内容を考えていました。
1.かかりつけ医は近くなくても良いのか?
2.どんなところをかかりつけ医にしたら良いのか?
3.眼科や歯科も同時にかかった方がいいのか?
がメインのようでした。
3.に関しては、内科では絶対に見えないところで、非常に重要なので、3−6ヶ月毎か、毎月かかるように言われていればかかるべきでしょう。
1.は、もっともな意見だと思います。 近いところだと便利だと思いますが、フィーリングが合わない医師や、大柄な医師(私も嫌です)に我慢してかかるのはストレスですし、多少遠くても自分にあったところにするべきでしょう。
2.ですが、これは私自身が香川の、四国こどもとおとなの医療センターで感じたり、最近開業して、勤務医ではなくなったので、外に目を向けることができるようになったのですが、
「看板(標榜)=専門」ではないケースが最近増えているので要注意です。 糖尿病専門、といっても、インスリン治療が非常にお粗末で、なんと自宅で血糖測定をすることを教えずに、インスリン治療をしているところがありました。 所謂、改ざん処理をおこなっているのでしょう。 お金も自己血糖測定で取られているはずです。 高知県では漢方科は専門に偽りなし、というところが多いと思いますが、心臓リハビリテーションについては、病院で研修していないのに「している」(医師はみんな知っているが言わない)という医院もあり、学会でも問題になっています。 四国で非常に問題になっています。
かかりつけ医は、いわば病気の管理はもちろん、よろず屋的なところがあると思いますので、守備範囲が多くないといけません。 最低、「癌」の検査ができる、「気管支炎、肺炎」の治療で最善の治療ができる、緊急を要することもある「心血管疾患(普段の高血圧・不整脈や糖尿病の治療を含む)」は基本と思っています。 3つのうち、1つでもかけていれば、そこはかかりつけ医に相応しくない、と私見ですが、思っています。 どの病気も「死に直結する」疾患なので。
私自身は、循環器内科医ですが、「心エコー」と「心臓リハビリ」がそのなかでも専門分野で、血圧、不整脈(脳梗塞を起こす不整脈を見逃さない)、糖尿病について論文を書いています。 また、気管支炎については、一宮地域在住の65歳以上の方の「耐性菌」についても、「地域医療の耐性菌」についての論文を四国初で書きました。 こういった、論文を開業してから書くこと、は第三者の目に、自分がしている医療を判断してもらい、開業して腕がおちない一つのトレーニング方法だと思っています。
また、医師にかかる十ヶ条のなかに、「医師との良好な関係づくりは貴方(患者さん)にも責任がある」、「自覚症状は伝えることが重要」、さらに「医療は不確実で限界がある」とされています。 これは的を得ていて、絶対に大丈夫、ということはなく、自覚症状を診て聞いて、最善を尽くすのがいい方法だと思っています。 そして、「治療方法を決めるのは患者さんです。なので患者さんの協力が医師には必要です」、 という趣旨もあります。 そのため、当院では患者様からの要望(日本語ではクレームという言葉がありますが、海外ではクレームは悪い意味では使いません。 コンプレインという言葉が日本語で言う、クレームをつけるという意味になります)があれば、真摯にうけとめ、その患者さんにとって最もいい医療に改善していくように今までもしてきましたし、今後もそういった姿勢をおこなっていく所存です。
私自身、一宮地域在住や、かかってくださっている患者様のことを思い、健康寿命を高知県1位にしたい、という想いで医療を行なっています。