大病院では専門性を高めるため、どうしても医師によっては自分の専門の分野だけをみることもあると思います。 これが悪いわけではなく、かかりつけ医の私どもが総合的に普段みていき、大病院でしかできない検査などを担当する、分業が大事だと思っています。 ただ、大病院であまり意味のない検査で数ヶ月毎の検査だけで通院を強要するのは、私は反対です。 必要な検査であれば意味があると思いますが、喫煙歴もなく、どうみても肺気腫がレントゲン(実はCTでも)で全く疑われていないのに、呼吸機能検査だけで大病院に数ヶ月に1回の通院で行くことも強要され、(検査がないと行く意味がないのでしているのでしょう) 結果はもちろん、「正常でした」となり、全く意味がないな、と思ったこともあります。 看取りの患者さんと分かっていて、大学病院などでみていく意味があるのでしょうか? 時代に逆行しているな、と感じることが多々あり困惑しています。
いろんな事情もあると思いますが、近くの大病院で、普段見ている患者様で、首が痛い、と来られた方がいて、明らかに頸部が腫れています。 CT検査をしたらリンパ節が気管を中心から左側に移動させるくらい腫れていました。 ちなみに、肺がんの可能性がある所見でした、、、
患者さん心理で、大きな病院にかかっていると、何かあったときに入院させてくれる、大きな病院だと設備も整っている、という理由や、長年かかっているから、という理由もあり、それは尊重しなければならない、と思っています。 しかし医療の細分化が進みすぎ、現代では難病などでない限り意味はあまりない、と思っています。 普段はかかりつけ医にかかり、持病で大きな病院に年に数回か1回かかる、というのがいいのではないでしょうか? もちろん、大きな病院でも、総合的にみる医師もたくさんいるので、全てかかりつけ医をクリニックなどにする必要はないと思います。
あとはかかりつけ医の専門の問題です。2点問題があると思います。
1.看板(標榜している科)=専門 は必ずしもそうではない、ということです。 特に心臓リハビリです。 これは学会でも問題になっています。 医師は職人であるべきです。 そのため医療は「よし、よさそうだから、経験はないがやってみよう」で、看板を掲げ、その後修行していっても、大病院での経験がなければ一生職人にはなれません。 患者さんには是非知っておいてほしいことです。 私は「嘘」が大嫌いなので、人を騙すような行為に思えて仕方ありません。 口コミはコンサルティング会社が書いているのが、医師から見たらバレバレのところがあります(笑)
2.耳に痛いことを言わない医師には要注意。 ということです。 がん検診について、私は必ず説明をします。 そこで「私はうけるつもりはない。癌になってもいいんだ」という強い意志をもった方には、その後勧めることはしませんが、一度は必ず聞くようにして、「友人などからの情報で、検診が必要と思ったら、受けてくださいね(その際、胃の検査ではバリウム検査は絶対にお勧めしません)」とも言っています。 突き放すことをしないようにしています。
さて、30年来、大学病院でかかっていた医師が、大学をやめ、中規模病院にかかるようになった患者様が最近こられました。 心房細動(発作型)があり、見逃されていたようで、自宅血圧測定も30年間、一度も話しされたこともないようです。 全員が自宅血圧が測れるわけではないのですが、必ず話すべき内容です。 ちなみに境界型糖尿病、腎機能低下(当院で治療し、改善しています)もありました。 いくら、その医師との信頼関係があっても、高血圧のコントロールが悪いから、心房細動になっているような患者様でした。 信頼関係も大事です。 ただ、それを逆手にとって、怠慢な医療を行うことを私は、「嘘」の専門を語ることと同様、嫌います。 自分が患者なら、そのような医師にはかかりません。
ただ、医師の暗黙のルールで、医師の悪口を言わない、というのがあります。 なので、「あそこは心臓リハビリの専門だから」ということもあるでしょうし、近いクリニックにしましょう、ということもあると思います。
ちなみに私が、四国こどもとおとなの医療センターで働いていた時は、紹介された患者様は、紹介していただいたかかりつけ医の先生に、どのように普段の検査をしていただいたらいいか(専門が循環器でない場合)、を紹介状の返事に必ず書いていました。
紹介がない急患でこられた患者様は住んでいる近くに、専門のクリニックがあってもそこでは私どもが処方した薬が救急で来られた時に全て自己の処方に変えられていることで悪くなっていることがあり、まずは私自身が最も信頼している、そう遠くない(車で5分の違い)クリニックをまずは勧めていました。
患者さんの意思がまずは重要ですが、皆様はどう思いますか?